続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4
「そうか…いや、できれば私も一緒に連れて行ってもらえないか、と思ってね。
もちろん、じゃまはしない。ただ前にユキの両親に一度会ってみたいと
思っていてね…結婚式の時に挨拶しようと思っていたから…」(藤堂)
「…そうですか。」(島)
「実はみんなの休暇があけたら合同慰霊祭を行おうと思っている。君達の意に
沿うように行うつもりだから安心したまえ。メインクルーにいろいろ取り
仕切ってもらわないといけなくなるが…いいだろうか?」(藤堂)
イスカンダルから戻って来た時は英雄の丘の落成記念と合わせて合同慰霊祭が行われたのを思い出した
「あんなに大々的にやりたくないですね。軍のショーにしたくないんですが…」
島が渋い顔をして言うと
「そうだよな、私もあれはやり過ぎだと思ったよ。まぁ案をいろいろ出してほしい。
ところで明日は何時に行くか?」(藤堂)
「えぇ、でも突発で行くので空振りしてしまうかもしれませんよ?」(島)
「そうか、それでもいい。」(藤堂)
「では明日の午前中、9時ごろ出発したいと思います。」(島)
「分かった。では寮の玄関で…」(藤堂)
「はい、宜しくお願いします。」(島)
「こちらこそ悪かったな。今日は?」
藤堂は立ち上がりながらそう聞くと
「少し実家に行ってこようと思っています。一応今日戻る事を告げているので」
時間を見ると午後2時を回ったところだった
「今夜は戻ってくるのか?」(藤堂)
「はい、実家にいても腫れ物に触るような状態だと思うので…」(島)
「そうか…気を付けて。」
そう言うと藤堂は部屋を出て行った
島は藤堂が出て行った後着替えてカードだけを持って寮を出て行った
「ただいま」
島は実家に戻った。母親が玄関に飛んできた
「おかえり、大介…けがはもういいの?」
母が心配そうに聞くと
「まだコルセットはしてるよ。次郎は?」
靴を脱ぎながらそう聞くと
「今日から学校が始まってね…先生に会える、って喜んで登校して行ったわ」
“お茶入れるわね”と言いながら母は玄関から台所へ小走りに行ってしまった
「とうさんは?」
大介はソファーに座ると母に聞いた
「もうすぐ戻ってくるわ。今日大介が戻ってくる事は知ってるから。…おまたせ」
古代の好きな紅茶を入れてきた。カップが一つ余計にある
「あなたと一緒に古代くんも帰ってきてるような気がして…」
母の眼から涙が落ちる
「かあさん、ありがとう。じゃぁもう一つ…ユキの分も入れてやってくれるかな?
多分一緒だと思うんだ。やっと時間も何も関係なく一緒にいられるように
なったからさ」
島がお願いすると
「やだ、気が利かなくてごめんなさいね、ユキさん。ちょっと待っててね。」
島は柔らかい風が抜けたような気がした
「ただいま」
30分ほどすると父親が戻って来た。島が玄関に出て父を出迎えた
「お帰り…今日、地球に戻ってきました」
島がそう言うと
「…お帰り。けがは大丈夫か?玄関は冷えるから早く奥へ戻りなさい。」
父親はそう言うと靴を脱いで島と一緒にリビングへ向かった
「おかえりなさい、お疲れ様でした。」
母が父の分の紅茶を入れてソファーに座った
「いい香りだね…おや?」(父)
カップが二つ多い…
「あぁ、このカップは古代くんとユキさんの分よ。きっと一緒だろう、って大介が…」
「そうだね、きっと一緒だろうな」
父はそう言って笑いながら紅茶を一口飲んだ
「大介、今日は泊って行くの?」
台所から揚げ物しながら母が聞いてきた
「いや、今日は夜戻るよ。明日長官と出かけるんだ」(島)
「あら、休暇中じゃないの?」(母)
「そうなんだけどね…ちょっと明日の朝一番で用事があって…」(島)
母はなんとなく察したので
「そう、わかったわ。次郎が戻ってきたら早めに夕食にしましょうね…今日は古代くん
も大好き、って言ってくれたから揚げにしたの。ユキさんも好きだったかしら?」
「ユキはさすっげぇ細いのに俺ら並みに食べるし飲むし…」(島)
「え?そうなの?以外ねぇ」(母)
「だろ?あんなに女性らしいのに女性らしい事全くだったしな。」(島)
「それでも古代くんはいい、って言ってたんでしょう?あの子優しいからね。」(母)
「そう、もうさユキがいるとでれ~ってしちゃってさぁ…」(島)
「へぇあの古代くんが?ちょっと見てみたかったわ…結婚式のぞきに行こうかと
思ってたのよね…本当に残念だわ」(母)
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4 作家名:kei