続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5
英雄の丘はにぎやかだった。いつも静かに沖田の像がみんなを見守っている丘だが今日は違った。
「持ってきたか?南部?」(山本)
「任せろ!後ろに隠しておけ、って頼んでおいたんだからな。」
今日の食事の手配は南部の父親が経営するホテルのケータリングサービスだった。もちろん呼んでる人数が半端じゃないのでホテルのシェフや従業員も参加していた。そこでお酒が大好きだった佐渡のために最上級の日本酒を一本酒蔵から拝借するよう頼んでいたのだ
「お前、コレ、オヤジさんに見つかって何か言われたらどうするんだ?」(島)
「んぁ?まぁ…継げって言われたら…俺、継ぐよ。そしてヤマトのような艦を造るよ。」
今までの南部とまるっきり違った。島は肩透かしをくらったようなそんな感じだった
「俺さ、今までオヤジに甘えてたんだ、ってよくわかった。南部から逃れたくて予備生
になったときは脱南部だ、って喜んだけど…。ヤマトが今回戻れなかったけどこうし
て俺達がここにいられるのはオヤジのおかげだった部分があるわけで…」
ヤマトが出航するに当たり藤堂の一存で南部の父に連絡し火器から食料、燃料など全てのものが積み込まれたのだ。
「今までは絶対継がない、って思ってたけど…少し考え方が変わったかな…でも今す
ぐ、ってわけじゃないぜ?俺達…まだイスカンダルとテレザートしか行った事ないん
だぜ?もっといろんな惑星に行ってみたいじゃないか。」
南部が夢を語る
「この世界に入った時は夢なんてなかった。現実しかなかった。でも夢を…ヤマトが
見させてくれたんだ。だから俺も変わらなくちゃいけない。いつか…俺が古代たち
のいる世界に行った時“お前には負けたよ”って言わせたいんだ。だってさ会った
時からずっとあいつに負けてるからな。あいつに勝ってたのは身長と足の大きさ
だけだよ。」
そこへ南部の父親がやってきた。南部は慌てて一升瓶を隠す
「康雄、いまさら隠したってしょうがないだろう?佐渡さん、さっさと飲ませ
ろってイライラしてるはずだ。」
南部の父親はそう言うと湯のみを渡した
「オヤジ…」(南部)
「お前には今やるべき事があるだろう?それを一生懸命やれば何事も無駄になる
ことはない。全て自分の糧になる。」
南部の父親はそう言うと藤堂を見つけ挨拶しに行ってしまった
「おつかれさん」
慰霊祭が終わりシャワーを浴びた相原の部屋に4人が集合していた
「これ、今日のテレビ放送」
録画しておいた映像をみんなで見た
「すっげぇ~カッコいいじゃんか!」
太田が嬉しそうに画面を見る
「南部の操縦もまぁまぁだな。しかしキツそうだな!」(島)
「なんとでもいえ!だから艦載機は嫌いなんだ。窮屈でさ」(南部)
「それにしても太田だってブレないしさすがだなぁ、って思ったよ。俺、後ろ飛んでた
からよく見えてさ」(相原)
「そういう相原だってしっかりバッチリじゃないか。」
山本が映像を見ながら言った。山本は島のすぐ後ろの右側にいた。その後ろは南部で山本の隣が太田その後ろが相原だった。
「おい…近くを飛行機とかなんか飛んでたか?」
山本が画面を見てつぶやいた
「まさか…こんなところに近く何があるかわからないから通らないだろうし通るとして
も迂回させるだろ?」
太田が普通に答えると
「ほら、ここ…今通りました、みたいな飛行機雲が出きてる…」
山本が白い線をなぞる。確かに地上から上空へまさしく今飛び立ちました、という感じだった
「ソレ、やまとデス。計算スルト今回出発シタ場所カラ延ビテイマス。」
アナライザーが青いライトを点滅させながら言った
「やまとガ一緒ニ飛ビタイトソウ言ッテイマス」
「ヤマトがそう言ってるか…」
島はアナライザーが乗りたそうに残念がってるのを見て頭部をなでることしかできなかった
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5 作家名:kei