続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5
一週間のんびりした後島達は揃って藤堂のもとへ向かった
「おはようございます」
5人は揃って敬礼して長官室に入った。
「おはよう。少しは休めたかね?」
藤堂はソファーに5人を進めると“失礼します”と言いながら座った
「だいぶ復興も進んだ。司令部も以前とほぼ変わらない様子に戻った…これもすべて
ヤマトのおかげだ…本当にありがとう。……まだ仕事へ復帰してない者もいるが
彼らには慌てなくていい、と伝えてくれ。慰霊祭は出られるだろうか?」(藤堂)
「そうですね、かなりキテるクルーもいますが多分大丈夫でしょう…あの戦いを生き抜
いた連中ですからね。」(島)
「そうだった…まず事務連絡からいくか…その慰霊祭だが来週の金曜日に決まった。
今日が月曜日だから少し時間はある。司令部からレターは出すがフォローしたい
人物にはそれぞれが当たってくれたまえ。…それと相原」(藤堂)
相原が立ち上がって敬礼しながら返事をした
「はい」
「きみは今日から私の第一秘書となる。今日から隣の席を使いなさい」
「了解しました」
そう言うと敬礼を解いた
「…相原、固くならずに…座りなさい。島から推薦もらっている…期待しているよ。
ユキの真似なんてしなくていいんだ。キミならではの手腕を発揮してくれれば
それでいい。最初は慣れない事ばかりだと思う…よろしく頼むな。」
藤堂は座ったまま相原に握手を求めたので相原はズボンで手を拭いてから握手に応じた
「それと…今緊急でひとつ戦艦を造っているが処女航海でイスカンダルへ行こうと
検討中だ。落成は来月上旬…テスト飛行を兼ねてるから心してほしい。後2週間
あるから休暇中のものもあけるだろう…誰一人欠けないように全員でイスカンダル
へ行こうな。…それから相原以下の今後の勤務先だが以前と同じ部署だが山本
は南部と一緒に行ってくれ。ここに艦載機チームが今いないのでな…まぁ来週まで
はシュミレーションやテスト飛行で忙しいだろう?英雄の丘で着陸の練習する日を
決めなくてはいけないな。駐車場を朝から立ち入り禁止にしなくてはいけないから
ね。前日は必要だろうからすでに押さえておくことにしてる。その日以外で練習し
たい日があったら早めに言ってほしいがどうする?」(藤堂)
「出来ればその前日二日間、お願いしたいですね。」(島)
「…わかった。では水曜日と木曜日駐車場を出入り禁止にしてスタッフを配置する事
にする。」(藤堂)
「ありがとうございます」(島)
「特に…島。頼むな?ゼロを壊すなよ?」
藤堂がそう言うと
「島、ゼロに乗るのか?」
山本が驚いて聞いてきた
「あいつが乗ってて俺が乗れないって悔しいじゃないか。」
そう言って悔しがった
「まぁ頑張れよ。カスタムしてほしければ言え。クセを直すぐらいならすぐ出来るから」
山本はそう言うと“ゼロはむずかしいぜ~”とプレッシャーをかけた
相原は藤堂と一緒に長官室に残り4人はシュミレーションルームへ向かった
<慰霊祭>
雲ひとつないいい天気だった。ヤマトクルー18名は9台の艦載機に乗り込みその時を待っていた。艦載機は昨日ピカピカに磨いた。
「ゼロ…今日も頼むな。一緒に古代と飛ぼう」
島の後ろには機関室で重度のやけどを負った山崎が乗っていた
「準備はいいですか?」
島が声を掛けると
「大丈夫ですが…まさか自分が艦載機に乗せてもらえると思ってなかったからドキドキ
しています。それもゼロだし…後で写真もらえますかね?」
まるで素人のような受け答え
「ははは、マスコミがしっかり撮ってくれますよ。後でもらえるよう聞いておきます。もし
ダメって言われてもしっかりもらいますって。私達が主催してるんだ。大丈夫ですよ!」
島はそう言いながら“ヒラリ”と乗り込むとエアーロックを確認してフライト準備の確認を始めた。そして練習通り事は済みフライトの時刻となった。ゼロはV字で登場する先頭の機だ。
「みんな、準備はいいか?練習通りにやれば大丈夫だ。みんなにはクルーがついてる
一緒に飛ぶ気持ちを忘れるな!アナライザー静かにな!」
島はアナライザーの頭部を積んでいた。そして間もなく管制塔からGOが出た
ヤマトでは味わったことのないGを体に感じて一気に飛び立つ。まるでゴムではじき出されたかのような感覚の後眼下に青い海が見えた
「島航海長、海ですよ、海!」
「そうか…今回のヤマトの発進の時海だったが機関室のクルーは外なんて見れな
い…今回はヤマトの心臓をよく守ってくれました…本当にありがとうございました。」
島がそう伝えると
「島航海長…」
と涙声になったので
「私はもう航海長ではありません。」(島)
「何言うんですか!私らにとって島くんは航海長です。太田くんは航海副長で南部
くんは戦闘副長です。…そして…ヤマトは永遠です…」
そう言って泣き崩れた
「もう泣かないって決めたんですけど…すみません」
「いいんです…泣きたい時は…。みんなは泣く事すらできないんです。泣く時は
みんなの分も泣けばいって思います。そしたらきっと笑う時も一緒だと思うんです。」
島はそう言って笑った
「俺も…辛かった…古代だけで行ってしまって…行かせてしまった事を後悔した。
でも今古代とユキが一緒に乗ってる、一緒にこの風景を見てるって思う事にした
んだ。だから山崎さんもそう思ってください。」(島)
「はい…」
続々と基地から飛び立ち気付くとしっかりV字で飛んでいる。すでに眼下に英雄の丘が見えていた。
「行くぞ!付いてこい!」
島はそう叫ぶと操縦かんを押して一気に低空飛行へ移った
「見えてきたぞ!」
英雄の丘には関係者が集まっていた。新しいレリーフには青い布がかぶされていた
「にいちゃん!かっこいい!!」
次郎も来ていた。次郎の頭の上をゼロが先頭でV字に並んだ9機が低空飛行したあと一機に上る…そして3方へ散ると今度はお互いの顔が見える距離で円を描いたり交差したりと息の合ったアクロバット飛行を見せた
拍手喝采の中艦載機は順番に近くの駐車場へ着陸していった
「お待たせいたしました。」
司会進行役の伊藤がマイクを握っている。クルー達が揃って英雄の丘へやってきてそれを参加者が拍手で迎えた。アナライザーは真っ赤なボディーを先に駐車場に運んでおいてもらい頭部をつないで一緒に入場した
「ヤマトクルーの入場です」
前回はファンファーレが鳴り響いたが今回は拍手のみ。全員が指定されたいすのところまで来た時
「これよりヤマトの慰霊祭を行いたいと思います。先の彗星帝国との戦いでたくさんの
戦士が命を落としました。この慰霊祭を行うに当たり地球防衛軍の司令長官の藤堂
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5 作家名:kei