続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
守の様子を心配そうにスターシアが見つめる。守はその気配に気付いて
「…大丈夫だ、スターシア。俺にはキミがいる…。」
そう言ってスターシアに向かってうなずくと
「進は…幸せだったのだろうか…」
誰に問いかけるわけでもなくそうつぶやくと
「長官も同じ事を私に聞いてきました。古代は随分変わりました。ユキと出会って
からはもっと変わりました。以前は攻撃的な部分があったのですがそれが丸く
なりました。
ヤマトに乗る前は仲間内にはすごいいいヤツなんですがちょっと…人見知りが
ある、とでも言いましょうか…」(島)
「あぁ、なんとなくわかるな(笑)。」(守)
「だから長官にも“多分幸せだったと思いますよ”と言いました。ユキがとても幸せ
そうだったので一緒にいる古代はもっと幸せだと思うんですよ。」
そう言って笑った島の顔を見て守は
「キミも森さんの事好きだったんだろ?」
と聞いた。
「当然ですよ!…先日メインクルーに聞いたら全員が全員ユキでしたよ。あれだけ
仕事ができて白衣の天使ですからね。非の打ちどころがない、でしょう?でも、
あぁ見えて結構きついんですよ。医務室に二度行くと絶対最初は説教だったそ
うです。私はほとんどお世話になっていないのでお小言食らった事ありませんが
戦闘以外のけがはヤバかったらしいです。」(島)
「でも戦闘以外のけがって余りないだろ?」(守)
「そう、思いますよね?あれだけの人数ですから…いろいろと。」
島が含みを持たせて言うと守もわかったらしく
「そうだな、長い航海だったしな。短くてもいろいろあるんだ。長いと…それなりだな」
そう言って笑ったがふと真顔になって
「明日、航海日誌かなにか残っていたら見せてくれないか?」(守)
「…はい。長官に許可をもらっておきます。」(島)
「すまんな、長い航海で疲れてるところ…みんなと一緒に休んでくれ…スターシア…」
守がそう言うとスターシアが
「ご案内します」
と言って立ち上がったので島は守に頭を下げるとスターシアの後ろについて部屋を出た
「ごめんなさいね。」
突然スターシアが謝って来た
「え?」(島)
「ユキさんの事、聞きたかっただけだったのに…辛い思いさせちゃったから…」
スターシアが島の顔を見てそう言った
「いえ…大丈夫です。でも守さんとスターシアさんが幸せそうでよかった…時々
古代も言ってたんです。“兄さん、ちゃんと暮らしてるかな、平和な時代を過ごして
ないから落ち着かないんじゃないか”って。でもお二人見てると時間がゆっくり
流れてる感じがして…幸せなんだなって思いました。古代も安心してると思います
あいつもなんだかんだ言って守さんが心配だったんです。」
そう言って島は笑った。
「そうですか…話を聞いてて私は自分のことしか考えていなかった、と思いました。
守がヤマトに乗り込めば私はまた一人になってしまう…と。でも守がここに残る、
と言う事は進が一人になる、と言う事だったのに…」
スターシアが泣きだしてしまったので島はオロオロしてしまったが
「守さんは残るべくして残ったんです。古代はユキがいたから…ユキだけじゃない。
俺もいたし相原も、真田さんも…古代は多分一人っきり、って思った事余りないと
思いますよ。今も…みんなと一緒ですし…。」
スターシアは涙を拭いた
「そうですね、ユキさんが一緒でしたね。ユキさんは私の妹と瓜二つでした。」
スターシアは歩き始めた
「サーシアさんですね?実は私と古代が彼女を見つけました。」
島がそう告げると足を止めた
「そうだったんですか…サーシアの最期は進から聞きました。その時一緒にいらし
たんですね。」(スターシア)
「とても美しい方でした。その後すぐユキとばったり病院ですれ違って…余りにも
よく似ていたので古代と二人で驚いたんです。」(島)
「そうでしたか…私がサーシアの代わりに行けばあの子は死なずに済んだ…そう
思うとかわいそうで仕方ないんです。私のように幸せを知ってほしかった…」
再びスターシアは歩き始めた
「きっとサーシアさんはスターシアさんを応援してると思いますよ。」(島)
「そうでしょうか」(スターシア)
「私には弟がいます。もし自分にもしもの事があったら…弟を見守ると思います。
だからきっとサーシアさんもスターシアさんを応援してると思いますよ。自分が
架け橋になった星の人と一生を共にするなんて…素晴らしい事だと思います。」
島はサーシアの顔を思い浮かべながらそう言った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei