続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
Tween
そこへ扉が開いて守が入って来た
「守さん」「島くん…」
守の眼は真っ赤だった
「すまん、話は全部聞いてしまった…本当にすまなかった。私が進を頼む、と言わな
ければきみはこんなに辛い思いをしなかったのかな…」
守は力なくそうつぶやいた
「両親を失った時も進に“頼む”と言わなければあの放射能の中三浦に戻る事もしな
かったかもしれない…。島くんに頼むと言わなければ島くんもそんなに重荷に感じ
る事もなかったかもしれない…本当にすまない。結局進に何もしてやれなかった…
真田も…ただ頼むだけで…真田…悪かった。」
守はそう言ったが涙を拭いて
「でも島くん、ありがとう。家族を見せてくれたんだろう?進、時々メールで楽しかった
と連絡くれてたんだ。あの時は自分の将来なんて考えてなかったと思うけど森さん
と付き合うようになってからは島くんが見せてくれた家族の様子を思い描いていた
と思う。進に夢を見せてくれてありがとう。」
そう言って守は島の手をしっかり握った
「辛いところ悪いが…真田の事、少し聞かせてくれないか?」
守は島にお願いした
「真田さんは古代の本当のお兄さんみたいでした。それとユキの後見人だったんです
ユキは私達と同じだったんですが本人がどうしても医師になりたいと言う事で
予備生でなく医大生になっていたんです。でも看護師が足りないと聞いて医師
から看護師に転向したそうです。その時もう看護師になる勉強は事足りてた事と
訓練学校に通いたいという志望もあったそうなので真田さんが後見人となって
いろいろ教え込んだらしいです。
真田さんは妹のように可愛がったユキと“守さんから頼まれた古代”が一緒になる
事で二人が本当の弟と妹になるような気がしてならないとそう嬉しそうに話して
いました。真田さんはお酒が入るととても饒舌で…古代の知らないユキをたくさん
教えてくれました。
今思うと予備生になってよかったと本当に思います。横向くと古代がいて後ろを
向くとユキが笑顔で笑ってくれて…相原、太田、南部そして加藤と山本…それを
後ろで見守ってくれていた真田さん…真田さんあってのヤマトでした。
私達が乗って来た艦は真田さんの設計です。ヤマトを基に造ったと長官が言って
いました。ヤマトはかなり旧式なんですが新しいのにあの艦も旧式のところが多い
んです。それとあの外装…まっしろなんですよ。雪のように真っ白、と言う事で
私達でYUKIと命名しました。ピッタリでしょう?」
島は真っ赤な目で笑った。
「守さん、土方校長を覚えていますか?」
「宇宙戦士訓練学校の?か?」
「はい、土方校長が謎の敵にやられたところヤマトが通りかかり救出したのが土方
艦長でした。要所要所で的確な判断をしてくれて…ガス帯を取り除く事はあの
デスラーが弱点を教えてくれましたが都市帝国がなかなか叩けずにいたところ
被弾した土方艦長が“敵戦闘機の射出口から入って敵の動力を破壊しないと
勝利はない”、と言って古代の了解、と聞くと息を引き取りました。その時真田
さんは立候補で動力炉の破壊に向かうと言いだしました。古代が戻るのは厳し
いと告げましたが“メカの事は任せろ”とそう言って第一艦橋を出て行きました
どれぐらい時間がたったでしょう…動力炉が破壊されたためミサイル攻撃などが
停止しました。でも…戻って来たのは古代だけでした。
古代から聞きました…動力炉にたどり着いたのは古代と真田さんと空間騎兵隊
隊長だけでした。真田さんは古代に“動力炉にたどり着いたらもう、戻れない。
お前はヤマトの艦長だ、指揮をとらないといけないから二人が動力炉に着いたら
戻れ”とそして最期に“俺はお前の事を本当の弟のように思ってきた、立派な
艦長になれ”とそう言って…ヘルメット付けてると相原のところへ集中して会話が
残るようになっています。相原はヤマトを降りるときそれを持ち出してたので…
後から分かった会話が結構あるんです。」
島は再び口を閉じた
「…そうか。」
守はしばらく目を閉じた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei