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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8

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<故郷 Ⅰ>
  「島、ちょっといいか?」

ワープが明けてもうすぐ太陽系、と言うところで自動操縦に切り替えた島に藤堂が声を掛けた

  「はい、今日はもうワープもないので大丈夫です…太田、自動操縦に切り替え
   てあるが…席を外すから…ちょっと頼む。」(島)
  「了解」(太田)

藤堂と島は艦長室へ入った

  「任務ご苦労さん。無事太陽系だな…」(藤堂)
  「はい。地球はもうすぐ、です。やっぱりほっとしますね。」(島)
  「そうか…ところでサーシアの事なんだが…そろそろ…」(藤堂)
  「そうですね…」(島)
  「戸籍を作らないといけない…実年齢と見た目がまるっきり違うからそこも…」

YUKIに乗り込む前は小学生くらいだったのにすでに中学生くらいに見える

  「すごい星ですね…イスカンダルと言う星は…でも…」(島)
  「でも?」(藤堂)
  「なんだか生き急いでるみたいで…」(島)
  「そうだな…ひょっとしてゆっくり年をとる人類だったら星もゆっくり年を取ったのかも
   しれないな。」(藤堂)

一呼吸して藤堂はこう切り出した

  「しばらく…私の自宅で様子を見ようと思うんだ。地球の環境に合えばユキの両親
   に話をして里親として育ててもらおうと思う。もし体質が合わなければ地球にいる
   事自体がむずかしいかもしれんし…」

藤堂の言う事はもっともだった。

  「せめてあの成長の速さがひと段落するまで…様子を見ようと思うがどうかね?」

確かに昨日より今日、今日より明日とぐんぐん伸びる背…顔つきもどんどん大人っぽくなっていく

  「そうですね、あの成長が止まるまではそれがいいかもしれません。でも…」(島)
  「なにか心配な事があるか?」(藤堂)
  「えぇ…長官宅にいるとなると今まで学んだ事どうなるかな、って思って…
   あの、家庭教師に幕の内さんを派遣するのはどうでしょう?」(島)
  「家庭教師?」(藤堂)
  「イスカンダルで学んだ事、YUKIで学んだ事を忘れないように…」(島)
  「でも幕の内で大丈夫だろうか?」(藤堂)
  「実は古代が編入試験受ける時ずっと勉強見てたの幕の内さんなんですよ。
   幕の内さんと守さんが同期で仲が良かったらしいです。で、守さんの寮の
   コック長してて…退院してから試験までの間なので時間は短いですがずっと
   試験勉強みてたらしいんですよ。幕の内さんなら人当たりも柔らかいしサー
   シアも知らない人から勉強教えてもらうより知ってる人の方が安心かな、って
   思って…。」(島)
  「…そうだったのか。そうすると適任かもしれんな。地球のいろんな風習とかも
   教えてもらおうか。そしてイスカンダルの文化を教えてもらおう。」

藤堂はいろんなプランが見えてきてちょっと楽しそうだった

  「でも奥様、とちゅうでサーシアがいなくなったら寂しくなってしまうんじゃ?」

島がそう尋ねると

  「まぁそうかもしれんが…うちには孫が何人もいる…しかし…森さんにはユキ
   しかいなかった…サーシアがユキの代わり、というのもなんだが…」

藤堂は娘とその婚約者を亡くした森夫婦の寂しさを少しでも埋められれば、と思っていた。

  「…了解しました。ではサーシアちゃんの事は長官にお任せします。」

島はすっきりした顔で艦長室を敬礼して出て行った





作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8 作家名:kei