続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9
「お待たせしました」
インターフォンが鳴りサーシアが藤堂と相原に付き添われて三浦の家にやって来た。森夫婦が三人を出迎えた
「お疲れさまでした…サーシアちゃん、疲れなかった?大丈夫?さぁ入って…
今日からここがあなたの家よ。」(母)
「やぁよく来てくれたね…長官も大事なお時間、ありがとうございます。」(父)
二人に出迎えられて三人は玄関を入ると先に来ていたクルーが敬礼で藤堂を迎えた
「お疲れ様です」(クルー)
「お疲れさん。(敬礼)しかしこんな大人数で来て…森さんに迷惑じゃないかね?」
藤堂はそう言いながら笑うと
「そんなことありません。にぎやかな方があの子達も喜ぶでしょう。さぁこちらへ…」
ユキの母は海の見えるリビングに三人を通した
サーシアは玄関を入った瞬間ユキの気配を感じた。それはとても暖かく母やテレサと違う暖かさだった
(ユキさん、私大丈夫…でも守ってね)
〈大丈夫よ、テレサさんも付いてるわ〉(ユキ)
サーシアはその言葉に安心したかのように小さくうなずくと藤堂と相原に守られるように進の建てた家に入った
クルーと藤堂はユキの母が用意した食事をいただくとすぐに退散した。早く三人にしたほうがいいだろうとの判断だった
「サーシアちゃん」
ユキの母がリビングのベランダから海を見ているサーシアに声を掛けた
「お母さん、サーシアでいいです。これからはサーシア、って呼んでください。」
サーシアは振り向くとそう言って笑った。ユキの母はその笑顔が夕日と重なり眩しそうに見つめた
「…そうね、自分の子供に“ちゃん”はおかしいわね。じゃぁサーシア、冷えると
風邪を引くわ…これ、ユキのなんだけど…」
そう言ってショールを肩にかけてやった
「海からの風は慣れてるかもしれないけど…ねぇ明日、疲れてなければちょっと
出かけましょう?まだ家具が入っていないのよ。サーシアの荷物も簡易ボックス
に入れたまま…ベッドだって必要でしょう?」
「でもベッドならさっきの部屋に…」
サーシアはユキのベッドが一番奥の部屋にあるのを見ている
「だってあれは古いわ。新しい方がいいでしょう?」(母)
「でももったいない、って思って…」(サーシア)
「そう?いいの?」(母)
「はい、せっかくなので…」(サーシア)
「わかったわ。じゃぁ今運びましょうか?」(母)
「はい!」
サーシアはにっこり笑うと二人で階段を上って二階に行って二人の部屋のベッドを解体し始めた。それを少し離れた所から見ていた父が
「それでは私もお手伝いしましょうか」
と言って一緒に階段を上って行った
「長官、大丈夫ですか?」
帰りのエアカーでぼんやり外を眺めている藤堂に相原が声を掛けた
「ん?あぁ…やっぱり寂しいなぁ、と思ってね…いい子だったよ…こちらを困らせ
ないように、って頑張っていたよ。二週間後に中学校へ編入だから…それまで
に森夫妻に慣れてくれれば…まぁあの子の事だ大丈夫だろう…」
相原は何も言わずうなずいた。
「編入も全て手配終了しています。制服も編入までに届くよう手配しています。」
「相原は気が利くな…そこまで考えていなかったよ。」(藤堂)
「いえ…長官、今日はこのままご自宅へ戻られますか?」(相原)
「そうだな…悪いが今日は仕事する気分じゃないな…すまんが自宅へ行ってく
れるか?」(藤堂)
「了解しました。明日の予定は通信機にメールを入れておきます」(相原)
「頼むな…」
藤堂はそう言うとシートに深く座りなおした
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9 作家名:kei