ドラゴンボールIF
だけどその幸せは束の間の儚い幸せだったんだ
全ては彼奴が来たせいで終わりを告げたんだ
「早く逃げなさいサムゥウウ!!
早く子供達逃がすんだ化け物が来るぞ!!
父さん母さん!! 早く行けぇええ!!
来い化け物息子には指一本触れさせん!!
何があっても諦めちゃ駄目よ強く
生きるのよサム うぁああああ!!
父さん!! 母さん!! 嫌だぁああ
僕を置いていかないでよ!! 何処に居るのっ
僕を一人にしないでよお!!」
ガバァ!!
ヤムチャ「うあああああああ!! 逝かないで
くれぇえええ!! 親父!! お袋!!
逝かないでくれええ!!」
プーアル「大丈夫ですかヤムチャ様!!
大分魘されてましたよ 酷い汗ですよ
・・また同じ夢を見たんですか」
ヤムチャ「はあ・・はあ・・はあぁ・・
ありがとうプーアルもう大丈夫だ」
プーアル「・・・ヤムチャ様」
そして目が覚めると目の前には何時も
心配そうなプーアルの顔があった
俺は心配かけさせない様に平静を装っているが
最近は段々そんな余裕も無くなってきた
最近夢の内容が鮮明になってきたんだ
それはつまり夢の中のあのおぞましい怪物の
正体がわかって来たからだ
だがそれは俺に・・否俺達にとっては
あってはならない事だった
そんな事は信じたくなかったその為に俺は
ずっと夢の中の朧気な記憶を頼りに生まれ
故郷を探した
そして遂に生まれ故郷を探しあててそれを
知った時絶望に包まれた
俺の生まれ故郷は北の都の外れにある
寒さに覆われた村だった
そして生まれ故郷には世界中で有名な
ある強大な組織があった
しかしその組織は以前は地球環境の保護と
平和を目的とした誰もが憧れる素晴らしい
集団だったらしい
それがある時を境に何かに取り憑かれたように
軍事力を強化しだしたらしい
そして世界中の都市や町村を徘徊するように
なったそうだ
そしてもう一つ大切な事はその組織には
ある世界的にも有名な科学者がいて娘夫婦に
三人の子供がいたらしい
当時五歳になる男の子と生まれたばかりの
男の子と女の子の双子が居たそうだ
それが今から二十五年前の事 その当時俺は
五歳だった
その強大な組織の名前はレッドリボン軍
そしてレッドリボン軍総帥と親友であり
実の兄弟であった科学者の名前がドクターゲロ
そして毎晩毎晩俺の夢の中に出てくる怪物は
怪物の正体は正体は
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
ヤムチャ「天を揺るがす程の・・巨大な
大猿だった」
ブルマ「なあ!?・・そんな・・そんな事って
・・そんな事って・・・嘘よ・・・嘘よ
ぉおおおお!!」
ベジータ「なる程な・・詰まりカカロット
の奴に愛する家族を殺されてレッドリボン軍は
軍事力を増大しドクターゲロは・・・・
恐らくは死ぬ寸前だった双子の孫をなんとか
生き返らせようと人造人間にした・・・か
ちぃっ 何て事をしやがったんだカカロット
の奴!!」
ヤムチャのもたらした夢の話はベジータと
ブルマに凄まじい衝撃を与えた
誰よりも信頼していた孫悟空の隠された本性
そしてこれから自分達が戦う筈だった
人造人間とドクターゲロの正体が
ブルマ「ヤムチャの弟と妹・・そして実の
お祖父さん・・そしてレッドリボン軍総帥も
ヤムチャの大切な家族なのね」
ヤムチャ「あぁ・・・そうだ」
ベジータ「それが真実か・・(とんだ正義の
味方だなカカロットよ 世界を救った英雄が
本当は英雄所か世界中の人を殺していた
なんてな・・それが真実なら貴様の様な
半端者は俺が殺す!!)・・不様だな
カカロットよ」
・・今明かされた真実は余りにも
残酷だった・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
孫悟空の隠された本性を聞かされたブルマと
ベジ—タは言葉を発する事なく暫し物思いに
ふけっていた
特にブルマにとっては長い間一緒に旅をした
仲間が正かあのフリーザをも遥かに超える
残虐性を秘めていた等悪夢以外の何物でも
無かった
その一方で本来なら戦う筈の相手であった
人造人間やドクタ—ゲロがヤムチャの
家族であったと言う真実とドクタ—ゲロの兄が
総帥たるレッドリボン軍が世界中の都市等を
武装して徘徊していたのが市民を傷つける為
で無く その逆の市民を守る為であったと言う
真実もブルマを打ちのめしていた
そしてその市民を傷付ける相手が孫悟空で
あったとはなんと言う皮肉であった事だろうか
そしてヤムチャもカプセルコーポレーション
から旅立って行く
ヤムチャ「それじゃ俺もそろそろ行くよ
行こうプーアル出発だ」
プーアル「はい ヤムチャ様」
そう言って今までずっと側で待っていた
プーアルと共に飛空挺に乗り込もうとする
ヤムチャにブルマが優しく声を掛ける
ブルマ「ヤムチャ・・家族と分かり合えたら
いいね あんたがしっかりするのよお兄ちゃん
なんだからね」
ヤムチャ「ブルマ・・気がついてたのか
・・サンキュー・・じゃあなベジ—タ
・・ブルマを頼む守ってやってくれ」
ベジ—タ「あぁ・・・任せておけ」
最後にベジ—タと視線を合わせ頷き合うと
ヤムチャは二人から離れ飛空挺で飛び
立っていく
恐らくは二人にはヤムチャがこれから何処へ
行こうとしているのか分かったのだろう
暫くそれを見送っていたブルマが突然話し出す
ブルマの脳裏には過去のある出来事が
去来していた
ブルマ「あのね・・ずっと昔の事なんだけど
・・孫君ね占い婆様の舘でアックマンと言う
怪人と戦った事があるの」
ベジ—タ「アックマン・・聞いた事の無い
名前だがそいつがどうかしたのか?」
ベジ—タの言葉にブルマは一瞬躊躇った後に
話し出した
ブルマ「うん・・その時にね孫君アクナマイト
光線て言う人間の悪の心を極限まで増幅させる
攻撃を受けたの でもね・・・何も起こらな
かった」
ベジ—タ「そんな事があったのか・・はぁ・・
ブルマよそれはとんでもない人格破綻者だぞ
・・哀れな奴だ・・悪い心を持たん奴等
この世の何処にもいない俺様の中にだって
未だに悪心は燻る事無く存在する そしてそいつは
永遠に消える事はない・・それこそが
人間の証なんだからな」
ベジ—タの言葉にブルマは深く項垂れる
その目には何時の間にか涙が滲んでいた
考えてみればそれは当たり前の事だったのだ
悪い心を持た無い人間等この世に居る訳が無い
例え世間から隔離されて生きて来た人間でも
世間に出れば自ずと悪い心が生まれる
その例がピッコロだ それなのに人と関わり
世間を知りながらも悪心を持たなかった
孫悟空は異常者でしか無かったのだ
ブルマの中に余りにも遅すぎる後悔の念が
沸き上がる 何故あの時安心してしまったの
だろう 悪心を増幅させるアクナマイト光線を
受けても何も起こらなかった それ即ち
裏を返せば善の心等ひと欠片も持たない怪物が
まさしく悪鬼羅刹が眠っている事に他ならな
かったのだ
ブルマ「本当にそうよね・・・そんなの