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ドラゴンボールIF

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人間じゃないよね・・どうしてこうなっ
ちゃったのかな・・孫君・・ねぇベジ—タ
教えてよ・・こんなの・・こんなのって」


ベジ—タ「ブルマ・・・・今は泣け俺様が
傍に居てやる」


ブルマ「うぅっう・・うぅああああああ
ああああああ!!」


べジータ「ブルマ・・(子供の心のまま
成長してしまった哀れな迷い子・・か
・・それが貴様の強さの正体だったのか
カカロットよ)・・だがそれでも貴様の罪は
消えない」


何時の間にかブルマはベジ―タの胸の中で
大粒の涙を流しながら泣いていた それを
ベジ—タは黙って抱き締めてやる事しか
出来なかった



・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・


時間は暫し流れる 場所は変わって此処は
孫悟空の実家の近くに在る山々に囲まれた
絶好の修行場


此処では孫悟空と孫悟飯そしてピッコロが
元気に修行をしていた


其処に何処からか足にカプセルコーポ
レーションのマークを付けたハトがピッコロの
元に飛んできた


ピッコロ「ぬ? あのハトは」


孫悟飯「あのマークはブルマさんの」


孫悟空「なんだ? 口になんかくわえてっぞ」


そのハトは修行をしていたピッコロの周りを
暫く回るとピッコロに口にくわえていた
手紙を渡し再び飛び立っていった


ピッコロは訝しみながらもその手紙を開いた


  ・・其処に書かれていたのは己が
以前から密かに恐れていた事だった・・


ピッコロ「な!?・・んだ・・と・・・・
やはりそうか・・嫌な予感が当たりやがったか
・・くそっ何て事だ!!」


孫悟飯「どうしたんですかピッコロさん
そんなに取り乱す何て珍しいですね」


孫悟空「どうかしたのかピッコロ」


突如叫んだピッコロに二人が尋ねるが
ピッコロは怪しまれないように自然に
手紙を折りたたむと当たり障りの無い
言葉で誤魔化す


ピッコロ「あっあぁ・・済まない 何でも
ないさ」


孫悟飯「そうですか・・それならいいん
ですけど」


孫悟空「なんだ人騒がせだなピッコロは」


その言葉に二人は興味をなくしたのか
修行を再開する しかしピッコロは手紙を
握りしめたまま修行をする孫悟空を今迄
見せた事が無い程の厳しい表情で睨んでいた


ピッコロ「何て事だ・・・これが真実か
・・・なぁ孫悟空よ貴様はその手をどれだけの
罪の無い人の血で染めたのだ」


孫悟空を睨むピッコロの表情は余りにも
行き場の無い憐れみと哀しみに溢れていた


ピッコロは嘗ての過去に思いを馳せる


それはあの恐るべき存在の驚異を身をもって
体験したあの時から消そうとしても消える
事の無い予感としてこの身に染み付いていた


正直に言えば最初からこんな時が来る
そんな予感はしていた


そもそもの切欠は俺の父ピッコロ大魔王が
殺された時のその最後の光景 記憶の中に
焼きついたあの最後 孫悟空の後ろに写った
巨大な大猿の怪物 即ちサイヤ人の本性


あんな恐ろしい怪物を自身の内に秘めながら
悪の心を持たない等絶対にあり得る訳がない
俺はその事をずっと自問自答しながらも
解決出来ない答えに疑問に思っていた


それが解決したのは孫の兄ラディッツが
来た時の事だった ラディッツに頭に強い
衝撃を受けた事は無いかとの問いに孫が
答えた後に武天老師は言った


お前のお祖父さんの孫悟飯に拾われた当時の
お前はとても暴れん坊だった それがある時
崖から落ちて頭を強く打ってから大人しく
なったらしいと


あの時武天老師は本人に気付かれないように
孫悟空をじっと見つめていた その意味が
今なら分かる


武天老師も又孫悟空の内に秘めた恐るべき
サイヤ人の本性を無意識の内に見抜いて
いたのだ


何故なら表面上は大人しくなっても月に一回は
必ずその恐るべき本性を現すのだから


それこそが月が真円を描く満月の夜也
それを知った俺は密かに武天老師と連絡を
取ったら案の定武天老師も俺と同じ考えに
達していた事が分かった


それからは俺は常に孫悟空を見ていた
何かあった時に手遅れにならない様に
しかし孫悟空は等の昔に既に取り返しの
つか無い事をしていた


先程の鳩がくわえてきたブルマの手紙に
全てが書かれていた ヤムチャが北の都の
外れの村で幼い頃に孫悟空に襲われていた事


その時に両親を亡くし瀕死の弟と妹を
祖父が人造人間にする事で助けようとした事
恐らくは一番最初に自分の身体で実験を
しているだろう事 それこそがこれから俺達が
戦う筈だったドクターゲロと人造人間である事


レッドリボン軍総帥はドクターゲロの
実の兄である事 家族を殺された事によって
後に人々に悪魔の軍隊と言われ恐れられる
軍事国家レッドリボン軍が生まれた事


そして人々に誤解され時には迫害されながらも
真に世界の平和を願っていた事 それら全てが
書かれていた


手紙を読み終わったピッコロは小さな声で
哀しげに呟く その表情は何とも居た堪れない
表情だった


ピッコロ「・・・ヤムチャ・・お前にとっては
余りにも辛い真実だったんだな・・本当に
辛く悲しい真実だろうな・・孫よ・・・
もしお前の本性が目覚め最早戻れん所まで
行ったなら・・せめてもの情けだ俺がお前を
・・殺す・・そうならない事を祈っているぞ孫よ
お前を信じさせてくれ」


孫悟空ならきっと己の罪を悔やみ皆に誠心誠意
謝ってくれるとピッコロは信じていた


ピッコロ「だがもしもお前が皆の期待を裏切るなら」


その瞳は修行をしている孫悟空を見つめていた
そしてその瞳が息子の孫悟飯に移ると
哀しげに揺れる


ピッコロ「悟飯・・すまん俺はもしかしたら
お前の父親を・・・すまん悟飯」


真実を知ったピッコロは嘗ては自分が
心から認めた男 孫悟空との決着の日が
来る事を感じていた


そしてもう一方で息子の孫悟飯の事を思うと
例えようも無く虚しくなった


何故ならピッコロにとっても悟飯は既に
自分の息子同然だったのだから


一方此処は亀ハウスでも哀しみにくれる
武天老師が居た


その手にはピッコロに渡されたのと同様の
手紙が握られていた


そして武天老師も又ピッコロと同様に
密かに恐れていた最悪の予感が当たって
しまった事を知った


武天老師「これは・・・何と言う事じゃ
・・まさかヤムチャとドクタ—ゲロが
血の繋がった家族じゃったとは・・それに
レッドリボン軍の総帥までもがか・・
何て事じゃ・・ピッコロと密かに話していた
最悪の予感が現実になってしもうたわい
・・・悟空よお主はなんと言う事を・・・
孫悟飯よ何故お主は悟空の本性を知った時
直ぐに儂に知らせんかったのじゃ お主の罪は
とてつもなく重いぞ・・苦楽を共にした
仲間同士で戦わせる等・・馬鹿弟子めが」


思い出すのは初めて孫悟空が大猿に変わるのを
見たときの事 何故あの時悟空の事を
もっと注意深く調べようとしなかったのか


何故孫悟飯に子供が出来たと知った時
自分から尋ねて調べようとしなかったのか


そして何よりも 何よりも武天老師が
怒り許せないのは 今は亡き弟子の事であった