二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

激ニブ星の恋人?

INDEX|1ページ/87ページ|

次のページ
 

第一話 だいたいこんな感じです



晴天の下、桜の花は満開で、風が吹くと、白い花びらがひらひらと散る。
「まるで、風花が舞っているようだな」
隣から声が聞こえてきた。
銀時はそちらのほうを向く。
真っ直ぐで黒くつややかな髪は長く、肌は夏であってもあまり日焼けせずに白く、鼻筋は綺麗に通っており、唇も形良い。
男ではあるが美人と評したくなるような容貌の持ち主である。
銀時の幼なじみで、戦友でもある、桂小太郎だ。
その切れ長で涼しげな眼は、桜のほうに向けられている。
桜の花に見とれているようだ。

これって、スゲーいい状況じゃねーか?

銀時は思った。
明るく咲き誇る桜の下、その花びらがときおり舞い散ったりもする中、ふたりきりでいる。
いい状況だ。
なにがって。
もちろん、告白の、だ。

ただし、要注意なのは、桂が激ニブなことである。
これまで、何度も、何度も、何度も、それで失敗してきた。
これ以上ないぐらいにハッキリと!!
言わなければならない。
顔から火を噴こうが、そんなことは一瞬だ。
その一瞬を恥ずかしがっていたら、自分と桂の関係はいつまでも「良い友人」である。
そんなのイヤだァァァ!
というわけで、清水の舞台から飛び降りることにした。

「桂」
もちろん、いつものようにヅラと呼んだりはしない。
そんなことをすれば、ヅラじゃない桂だ、と桂が言い返してきて、いつものやりとりになってしまうだろう。
桂がこちらを向いた。
「なんだ」
「俺ァ」
さあ、勇気を出せ。
「おまえのことが好きだ」
言い終わった瞬間、背中がゴオオオッと燃えあがった気がした。
ものすっごく恥ずかしい。
しかし、桂の表情は変わらない。
「そうか」
あっさりと言って、懐からなにかを取り出す。
紙とペンだ。
それを銀時のほうに差しだした。
「ならば、これに署名をしてくれ」
紙には、攘夷党党員名簿、と書かれている。
「なんじゃこりゃァァ!?」
「俺のことが好きなんだろう?」
「なんだその理屈は! デート商法かよ!?」
「ぜんぜん違うではないか。俺とおまえは良い友人なのだからな」
出た、良い友人攻撃だ。
好きという言葉はかなり広範囲で用いられる。
それでもこの状況を考えれば……などというのは、桂には通用しないのだ。
今日のテーマは、これ以上ないぐらいにハッキリと!!
しょうがない、アレを言うしかない。
「桂」
「なんだ、やはりペンではなく筆のほうが良かったか」
「イヤ、そんなのどーでもいい」
あやうく脱力しかかった。
これが桂のオソロシイところだ。
しかし、即座に立て直す。
「桂、俺ァ」
ふりしぼれ、全身の勇気をふりしぼれ。
「おまえを愛してる」
言い終わった瞬間、自分が炎上してしまった気がした。
ありえないぐらいに恥ずかしい。
しかし、それでも桂の表情は変わらなかった。
「我が党の精神は友愛なんだ。ちょうどいい」
「なにがちょうどいいだ! 意味わからねー! てゆーか、ソレ、他の党の真似だろーが!」
「我が党の方針は、良いものはどんどん取り入れる、だ。良いと思ったから取り入れただけであって、真似をしたわけではない」
「一緒だろうが! 表現を変えただけだろーが!」
「この国には古くから本歌取りという文化があってな……」
話はどんどんそれていく。

遠くからふたりのやりとりを見ていた者たちがいた。
新八と神楽である。
「銀ちゃん、へたれアル」
「そーゆー問題じゃない気がするけど……」
ふたりそろって、あきれ顔をしていた。









作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio