バベルの崩壊
「日本、フランス、戻ったか?」
「ええまあ…なんとかなりました」
「はっはっはー、やっぱり愛の力ってやつは偉大だね!!」
力なく落とした日本の肩を抱いたフランスの笑顔はつやつやと輝いていた。
「Hey! どうやって戻ったんだい? やってみせてよ!」
無邪気なアメリカの質問にびしりと固まった後で、日本は目に殺意を輝かせてアメリカをにらみつけた。
「お聞きにならないでいただけますか……?」
「ええーお兄さんはいつでも再現しちゃうけどぉ?」
「フランスさん!」
「ふふー、嘘だよ、こういうのはやっぱり秘密にしておかないとね」
ばちんと星が飛びそうなウィンクに、日本は心の底からため息をついた。
キスをした後すぐ言葉が通じるようになったのに、結局フランスのやりたいように言葉以外で愛を語られた日本は、痛む腰を労わりながら遠い目で会議の始まりを待つのだった。