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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 11

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サーシアが食欲がない、と言ったので島は温かいコーヒーと紅茶を買うとヨコハマシティに近い港が見える埠頭にエアカーを止めた。復興の足掛かりともなるたくさんの資材を載せてこれから各国へ輸送するのだろう、すでに夜の8時を過ぎているのにクレーンは動いていた。港はとても明るく現場を照らしていた。

  「工場の灯りがきれい…貨物船がいっぱいだわ…家から見える海とは全然違う…」

サーシアは紅茶を持ってエアカーを下りた。島も一緒にエアカーを下りる

  「寒くないか?」

島が尋ねると

  「大丈夫、紅茶が温かいから」

そういって紅茶が入っている容器を大事そうに両手で包んだ。

  「すぐに冷めちゃうぞ。」(島)
  「大丈夫、今は心も暖かいから。」

サーシアはそう言うと埠頭の先に立って

  「この海…三浦にも繋がってるのよね…三浦だけじゃなくて地球全部の海に
   繋がってるのよね」

と言った

  「そうだよ、そしてこの海はイスカンダルの科学力が復活させたもの…
   サーシアの故郷と共にある、って言ってもいいと思う。」(島)
  「そうね…」

サーシアはそう言うとじっと海を見つめた

  「サーシア…寂しくないか?」

島が尋ねるとサーシアは振り返って

  「大丈夫…YUKIのクルーもいるし学校の友達もいる。お母さんもお父さん…
   おじいちゃん、おばあちゃんがいる…心の中にはユキさんがいてテレサさん
   も一緒にいてくれる。イスカンダルにいたら何一つ知らない幸せだわ。
   寂しい、なんて言ってられないわ。」

ただひとつの寂しさを除いて…サーシアははっきり判った…誰といてもある埋まらない寂しさがどこから来るのか…。サーシアは自分の心を読まれそうで島に背を向け港を見つめた

  「そうか…じゃぁ、俺の出番は無さそうだな。」

島は改めて自分の出番は本当にない、と思ったが

  「でも、俺が寂しい時…少しでいいから会ってくれないか?サーシアといると
   安心できるんだ。今まで誰とも感じたことのない暖かい気持ちになれるんだ
   ヤマトが無くなってあいつがいなくなって不安だらけの心をサーシアが
   埋めてくれた…やっと気付いたんだ。俺はサーシアが好きなんだって…
   俺にはサーシアがいないとダメなんだって…」

サーシアは島の告白を背中で聞いていた。まさか島が自分の事を想っていてくれたとは思いもしなかった。

  「さっき…もし自分があの丘にいなかったら、と思うとぞっとするんだ。もし
   なにかサーシアにあったら…あいつらを…」

島が自分の両手を握りしめて言葉に詰まるとサーシアがその両手をそっと包んだ。ハッとした島を見てその両手を島の首に巻きつけ島の胸に飛び込むと島はしっかりサーシアを抱きしめた

  「これから先は俺がずっと守るから…」

サーシアは無言で頷いた













  「はい…紅茶。」

落としてしまった紅茶の代わりをコンビニで買うと島はサーシアに渡した

  「ありがとう。」

サーシアははにかんだ笑顔で受けとる

  「遅くなっちゃったな…電話一本入れるな。」

島はそう言ってユキの母に電話をもう一度入れて今横浜にいてこれから三浦に向かう旨を伝えた

  「お母さん、怒ってなかった?」

サーシアが不安げに聞くと

  「大丈夫だけどこれからはちゃんと言ってから出てくるんだぞ?最初に電話
   した時帰ってこないから心配してた、って言ってたからな。」

島の言葉にサーシアはバツ悪そうに

  「はぁい」

と答えて紅茶を一口飲んだ














作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 11 作家名:kei