Night on the Galactic Railroad
ザックスが窓を開けて、木に手を伸ばしてその実をもいだ。甘い良い香りがする。ザックスが手にとって、クラウドに差し出した白い宝石の様なそれは、クラウドの手に渡ると、つやつやした林檎の実に変わった。
「食べようぜ」
「ありがとう」
クラウドは空いている方の手を掲げて、林檎の実を写し取る様に移動させた。残像が影を作り、両手に質量を持った林檎が現れた。クラウドは早速胸で林檎を擦ると、その片方をザックスに差し出した。
ザックスがサンキューと言いながら林檎を受け取って齧った。クラウドも一口齧る。しばし無言で林檎を齧っていると、アナウンスの声が聞こえてきた。
《ケンタウルの村、ケンタウルの村です》
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作品名:Night on the Galactic Railroad 作家名:അഗത