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コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ

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「お前のけむくじゃらなんか、見たくねぇよ!!このXXXX野郎が!!」

思い切り、眉毛さんが放送禁止用語らしい英語のスラングを口走る。早口過ぎて意味解んなかったけど、余り良い言葉ではなさそうだ。

「この毛の良さが解らないなんて、これだから坊ちゃんんとこは飯が不味いんだよ」
「毛と飯の不味さは関係ねぇだろーが!!このクソヒゲワイン野郎、てめぇのその毛今日こそ全部、毟ってやる!!」
「おお、おもろくなってきたな!やったれや!!フランシス、負けんな!!」
「おう!…って、アントーニョ、お前、煽るだけ?俺に加勢してよ!」
「えー、面倒くさい」

何だか、とっても不穏な雰囲気。周りの花見客は避難を始めた。止めなくていいのか、俺がオロオロしていると、そこに更なる炎上を招く爆弾が投下された。

「本当に君のスコーンは最悪に不味いな!」

石炭の塊となった、元は多分、スーコンだったものを有り得ないバリッゴリッと音を立てて、ハンバーガー君が頬張っている。それに、眉毛さんの目が見る見る間に潤んでいく。

「だったら食うな!!アルのばかぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

叫ぶなり、どこぞへ駆け出していく眉毛さん。それを呆気に取られた顔で見送る髭さんと親分さんと、二個目を口に運ぶハンバーガー君…。ムキムキさんが盛大な溜息を吐いた。

「…アルフレッド、探して来い」
「…ったく、本当に面倒臭いんだぞ。アーサーは」

スコーンが盛られた籠を抱え、ハンバーガー君が眉毛さんの後を追いかける。ムキムキさんが本田さんを振り返った。
「…毎度のことながら、すまん」
「いいえ。…それでは、アルフレッドさんがアーサーさんを連れてくるまで、片づけを済ませておきましょうか。二次会は迷惑の掛からない我が家で行いましょう」
「…そうだな」

花より団子…、大騒ぎのうちにお花見は終了し、本田さん宅で二次会が始まったのだが、結局、髭さんが脱ぐ、親分さんも脱ぐ、うさぎさんも脱ぐ、眉毛さんも脱いで大乱闘となり、襖と障子を取っ組み合いの喧嘩の挙句に破壊した髭さんと眉毛さんに怒鳴るでもなく静かに微笑む本田さんが滅茶苦茶怖い。

「日頃、温厚な奴を怒らせたら怖いよなー」
「せやで。ほんま、あいつらアホやなぁ」

危うく本田さんに睨まれ、正座をさせられる難を逃れたうさぎさんがみたらし団子の十本目の串を空け、同じく難を逃れた親分さんがずずっとお茶を啜った。その横では酔いつぶれたムキムキさんがうさぎさんの膝を枕に、ムキムキさんの尻を枕にイタリア君が気持ち良さそうに寝ている。

「そうなんだぞ。菊は怒ると怖いんだから、懲りないよねぇ、おっさんたちは」

おはぎを頬張りハンバーガー君が言う。


 こうして、お花見の夜は騒がしくも静かに幕を下ろした。