コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ
そして、うさぎさんのリハビリで始まったこの演奏会、最初の頃はそれはもうひどい有様だったらしい。うさぎさんは貴族さんのピアノに合わせる気がない。それに貴族さんが怒る。口喧嘩勃発。ムキムキさんが止めに入るが、収集が付かない。姐さ…お姉さんのフライパンが飛んで(…当たったら、死ぬんじゃ…?)、収まっていたと本田さんが教えてくれた。本田さんはそれに狼狽えるばかりだったそうだ。それがどうにかこうにか、貴族さんが大幅に譲歩する形で今のようになり、週末には爺ちゃん、本田さん、イタリア君、ムキムキさん、姐さんと集まってこういう形になった。それは戦争が激化する前まで続き、疲弊した心の慰めになったのだとか。…その後、貴族さんがベルリンを離れ、それぞれがそれぞれの場所へと戻った為、開催されることはなく、今日が久しぶりの開催となった。その演奏会に再び参加できて、爺ちゃんは嬉しそうだ。そして、俺も、七十年前の、爺ちゃんの若い頃の思い出を体現できて、嬉しかった。
そして演奏会後、宴会になったのは言うまでもなかった…のだった。
作品名:コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ 作家名:冬故