願いが叶うなら
雪の舞う平泉の平原に一人で佇む、あの河の向こうに君はいる。きっと一人離れた己のことを思って胸を痛めているのだろう、それととももうすでに見限られたのだろうか?
どちらにしても彼女の本心を知ることも己の本心を伝える術もない自らの手でそれを絶ってしまったのだから。
『ごめんね』
君に直接伝えられない言葉を香りがしなくなった香袋に囁く。
『オレの事なんてもう考えないで君は前を向いて歩いていて、俺の好きな笑顔で俺の好きな優しい声で幸せになって。』
もう迷わない−
あの時、オレは君から与えられる終わりの時に、『幸福』を夢見たのかもしれない。
おわり