『さよなら』と呟いた
「精々、あの野郎とヨロシクやってるんだな。俺は、アイツの元に行く」
どれ程時間が掛かっても見つけ出す。
どんな姿に成っていようとも。
自分がどんな姿になろうとも。
きっと、見つけ出す。
アルヴィンはそのまま銃口を『正義』へと突きつけた。
「そして、テメェだけは殺してやるよ。アイツを侮辱した罪は……絶対に許さない」
討ち放たれる銃弾。
炎を纏って火球となったそれが幾つも『正義』へと襲いかかった。
立ち昇る爆炎と爆風。
牢獄を吹き飛ばすほどの威力。
瓦礫となったソコから『正義』はユラリと立ち上がった。
周囲には誰も居ない。
ここを吹き飛ばした存在の欠片も。
ただ、ゆるく吹き抜けた風に黒く染まった羽が舞いあがり、消えた。
それをただ、静かに月明かりだけが照らしていた。
この夜二つの大天使が闇に堕ちた。
互いへの愛に溺れて――――。
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作品名:『さよなら』と呟いた 作家名:蒼稀