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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 16

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「誤解しないでください。何も貴女が役に立たないから残ってもらうのではありません。私達の目的は灯台を灯すことです。ソル神殿突入は通過点でしかありません。そこで幹部のカーストとアガティオにはその後の灯台解放の際、行動していただきたいのです」
 アレクスは、今回の作戦に際して、長二人の身に何かあった時、すぐに後継できる者を残したい、という旨の言葉も添えた。
「癪だが、確かにアレクスの言うとおりだ。前に私達だけが助かったのは奇跡だった。次も助かる保証はない」
「今私達が倒れたら、次に戦士団を纏められるのはあなた達だけね……。カースト、気持ちは分かるけど、ここはアレクスの言うとおりにしましょう」
「姉さん、でも!」
「……団長であり、お前の姉上が言っているのだ。素直に従え、カースト」
 アガティオが物静かにカーストを説得した。
 サテュロスや姉、同期の仲間にまで諭され、カーストはこれ以上騒ぐのも愚かだと思い、ついにはアレクスに従うことにした。
「しかし、アレクスよ」
 サテュロスが訊ねる。
「貴様と私、そしてメナーディが行くとなると参加枠が一つ空くが、どうするのだ?」
「心配には及びません。貴方が三年前助けた人物を連れていきましょう」
 サテュロス達は三年前、ハイディアから撤退する前、川に流され死にかけていた人々を救っていた。
 ハイディアの民ならば何かの役に立つのでは、と考え、サテュロス達は彼らを拉致していた。
「ハイディアの人間か、なるほど、何かの役には立つかもしれんな。して、誰を連れて行く?」
「あの少年、まあ、今は青年になっているでしょうが、彼を連れて行きます。あの中では一番まともに旅できるでしょうから」
「なるほどな、他の者ではとてもあの山は越えられまい。奴が適任だな」
「では、あの青年を説得しておいてください。三日後にまた参ります。準備を整えておいてください。その日に出立としましょう」
 アレクスは集会所を出て行こうとした。しかし、何か思い出したようにサテュロス達を振り返った。
「ああそうそう、ハイディアの青年についてですが、脅すような事はしないでくださいね。他の民に危害は与えないと約束するようにしてください。では」
 言い終わると、アレクスは今度こそ集会所を後にした。
「ちょっと待てアレクス! 罠の解除の方法は……!?」
 肝心なことを聞きそびれた事に気付き、サテュロスはアレクスの後を追って集会所の扉を開いた。
 しかし、出て行ってすぐだというのに、アレクスの姿は忽然と消えていた。
「バカな、今出て行ったばかりだぞ。奴めどこに……?」
 サテュロスはアレクスを追うことを諦め、扉を閉めた。
 サテュロスは自らに向く、アレクスはどうした、と問うような視線に、首を横に振った。
「サテュロス、アレクスは、信用できると思う?」
 メナーディが問いかけてきた。
「分からん、だが今は、奴を頼るより他あるまい……」
 サテュロスは困惑しきっていた。
 現れるのも突然、灯台解放について語ってくれたのも突然であった。そして、ソル神殿突入に失敗した時もそれを予期していたような素振りを見せていた。
 それから、三年も音信不通のまま今日また現れた。そして、ソル神殿の罠を解除する方法を見つけたと言い出した。
 サテュロス達北の火の一族は、ウォーロック、アレクスの手中で完全に踊らされていた。