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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 16

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 極太の光線は、狂いなくセンチネルに向かってきている。光線の先端の面積は、センチネルのいる灯台頂上よりも遙かに広く、逃げ場など
どこにもなかった。
 にもかかわらず、センチネルは棒立ちのまま、来る光線に目を向けるだけだった。
「うわー! もうだめだ、俺様は逃げる!」
 バルログは左右非対称の翼を羽ばたかせ、空を飛んで灯台から離れようと試みた。対照的にセンチネルはその場を一歩も動かずにいた。
 ついに光線は灯台に着弾した。センチネルは巻き込まれ、骨のひとかけらも残らず砕け散る、はずだった。
 なんとセンチネルの鉄仮面の玉は、巨大な光線すらも無力化していた。
 質量が大きすぎるためか、無効化し、拡散するのに時間は要したが、それでもセンチネルの前ではいかに巨大な力を持っていても、エナジーである限りは無力であった。
 やがて破滅の光群、ルイン・クラストは、ドゥーム・ドラゴンが貯めた力の全てを出し切った事により、照射を止めた。
「グルルル……!」
 ドゥーム・ドラゴンは唸り、眼下の灯台を見ていたが、そこには既にセンチネルの姿はなかった。
「余興はもう終わりか……!?」
 センチネルは、ドラゴンの寸前まで迫っていた。剣を振るって最後の首を斬る。
 首は切り口から、血のように光を漏らしながら灯台へ落ち、体はその場で消滅した。
 首は、これまでの二本同様、人間の姿へと変わった。鮮やかな金髪の男になり、地に伏していた。
 センチネルも翼を閉じ、地に下りたった。
「……おい、臆病者」
 センチネルは、まだ空中にいるバルログには向かず、言った。
「誰が臆病者だ! あれだけすごい
光線出されりゃ、誰でも逃げるわい!」
「敵前逃亡は戦士の成すべき事ではない。貴様等の主、デュラハンとて、あれしきでは逃げ出さぬだろう……」
「当たり前だ! デュラハン様は強い! それよりもまたデュラハン様を呼び捨てたな。シレーネのアネゴに言いつけてやらぁ!」
「ふん……、彼奴に直に言えばよかろう。貴様の持っている、アレクスからの預かり物をここへ放れば、デュラハンは復活するのだろう?」
「はっ! ちょっと強いからって粋がりやがって! まあいい。デュラハン様にまたやられて、落ち込んでりゃいいや!」
「ふん……」
 バルログは悪態を付きながら、アレクスが持ってきた、ミスリル製の袋から紅蓮に輝くマーズスターを取り出した。火口の前に行くと、マーズスターは自然に、バルログの手を放れ、火口に吸い込まれるように落ちていった。
ーーデュラハン……ーー
 火口から一筋の光が空へ向かうという、解放の予兆が見られる中、センチネルは一人、物思いに耽った。
 ついに最後の灯台も灯った。こうして世界の四つの灯台全てが、解放されたのだった。