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金色の双璧 【単発モノ その2】

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2.
「まったく、どうしたのだ。アイオリアは……」
 あの気まずい別れの日から、聖域に訪れることがあっても用事もなくアイオリアの元を訪ねるようなことをシャカはしなかった。考えてみれば一年近くも顔を合せていない事実に辿り着いた。鈍い痛みを伴う胸のしこりは消えないままに放置していたのだ。
 ミロの話を聞いたシャカは教皇への報告を終えたあと、目立たぬように聖域では馴染み深い訓練服へと着替えた後、アイオリアが立ち寄っていそうな場所を探し、尤もらしい場所でアイオリアの姿をシャカは見つけた。シャカは十二宮を降りる前から、気付かれぬようにと自らの気配を断ち、最大限小宇宙を抑えていたが、さらに気を引き締めて慎重に近づいてアイオリアを観察する。
 夕暮れに染まる闘技場で訓練生と混ざりながら、アイオリアは黙々と無心に拳を揮っていた。少し離れた場所ではアイオリア目当てなのだろう、憧憬の眼差しで見つめる女たちの群れもあった。
 ミロから伝え聞いた話ではもっとアイオリアは浮ついているのではないかと考えていたが、実際のアイオリアを見てみると、むしろ真逆の印象でしかなかった。
 帯びる熱量とは裏腹にひどく冷め切った眼差し。どこか痛ましさすら感じさせるものだった。訓練を終える時が告げられ、他の者たちが闘技場から散っていっても、最後まで残っていたのはアイオリアだ。
 ようやく納得したように体術を終えると、その周囲を今か今かと待ち望んでいた女たちが取り囲んだ。シャカの知るアイオリアならば、わざわざ遅くまで残っていた彼女たちに礼を尽くすことがあっても邪険に扱うなどということはなかったのだが。
「……何があったのか」
 鬱陶しそうに女たちを押し退け、それでも追い縋ろうとする者はぞっとするほど蔑んだ眼差しで見据え、威嚇したのち、アイオリアは一言も発せずに闘技場を後にしたのだった。    
 なぜだか、シャカの胸までもが、ちりりと痛んだ気がした。不可思議な思いに囚われながら、シャカは疑問符を抱えたまま十二宮へと戻り、ミロの元を訪ねた。
「きみが言っていたのとは随分と様相が違っていたが、ミロ?」
 まだ自宮にいたミロを捕まえてシャカは問いただす。
「そうか?でも集られていただろう?」
「それはそうだが……アイオリアらしくないと思うのだが。あんなに刺々しい感じではなかっただろう」
「う~ん…どうだったかな……ここ一年ほどはあんな感じだったけれども。男らしさに拍車が掛かったというか、危険な感じというか、近づき難さが堪らないってアイオリアを追っかけていた女が言っていたな。冷たくされるのがいいんだとさ」
 伸びをしながら、にやりと人の悪い笑みを浮かべながらミロは答えてみせた。十中八九その女とも関係を持ったのだろうとシャカは推測するが敢えて触れなかった。
「でも、言われてみれば、そうかもしれないな。あいつ、もっと立ち回りは別の意味で下手だったものな。前のあいつに戻ってくれれば、俺も安泰なんだけど」
「何が安泰なのかね」
「こっちのはなし。直接聞いてみれば?おまえなら教えてくれるんじゃないのか、ああなっちまった理由を」
「聞いてどうなるのかね」
「どうなるのかねって……俺に聞くなよ。わかった、もういいし。でもさ、ちょっと協力してくれないか?」
「協力?」
「そ、ちょっとした小芝居に協力してくれればいいから。ただし一つ約束!絶対、何があっても何をされようとも小宇宙爆発させんなよ?いいな?無抵抗、絶対服従、守れよ?いいな?」
「それで理由がわかるのかね?」
「たぶん、いや…きっとな」
 ミロが不敵に笑みを浮かべる。なぜだかシャカはぞわりと背筋を寒くした。