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クリスチーネ中西
クリスチーネ中西
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ウワサの真相

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オフシーズンのある日、早田誠と反町一樹は部屋の中でくつろいでいた。

本来なら彼らは神戸市内で開催されるある野外イベントに参加する予定であったが、
生憎の雨のため中止となり、仕方なく反町のマンションで暇をつぶすことになったのだ。

早田はサッカーの動画をテレビで見ながらソファーでゴロゴロしていた。
反町も座っていたが、立ち上って訊いた。

「コーヒー・・・飲むか?」
「ああ、飲もか」

台所のコーヒーメーカーに向かいセッティングした。
機器からは蒸気が吹き出す音がして、独特の芳ばしい香りが漂う。

「あ、砂糖とミルク多めにな」
「持ってくるから自分で調節しろ」

反町はテーブルにグラニュー糖入れと、コーヒーフレッシュの入った皿を置いた。
ちょうどこの甘党の男の前になるように。

しばらくして、コーヒーメーカーの蒸気音が収まった。

「できたぞ」

両手に持ったホットコーヒー入りのマグカップをテーブルに置き、早田の隣りに座った。

「おお、サンキュー、いっただっきまーす」

早田は起き上がってソファーに座った。
すかさず、グラニュー糖をスプーン山盛り3杯ほどカップの中に投入し、
続いてコーヒーフレッシュも4つばかり入れた。
反町は呆れ顔でその様子を見ていた。

「・・・そんなに入れたらコーヒーの味が台無しだろ」
「これくらい入れんとこの焦げ汁は飲めへんねん!!」
「焦げ汁、ねえ・・・」
「うーん、なかなか溶けへんな」

マドラーで必死にカップの中の液体をかき回している男を横目に、
反町はブラックの状態でカップに口をつけた。

「もうええわ、砂糖溶けへんけどこのまま飲むわ・・・しっかし、オマエ何も入れんとよう飲めるな」
「コーヒーはブラックが一番うまい」
「ぷっ、わからへんわ・・・オマエの味覚」
「それはこっちのセリフだ、ふふっ」

バカバカしい口論にふたりとも笑うしかなかった。
早田は話題を変えようと、反町の学生時代からのチームメイトについて訊いた。

「そういや、オマエ連絡取ってるか?日向と若島津、あと・・・沢田か」
「いや・・・若島津はたまに連絡もらうけど、日向とタケシは全然だなあ」

ここでは安心して日向も呼び捨てにできた。

「へーそうなんや・・・」

早田はつまらなさそうな顔で反町を見た。

小学校から一緒の三人と違って、中等部から途中で合流したせいなのか
なんとなく彼らとの間に距離感のようなものは反町は感じていた。

「なあ、日向と若島津なんやけど、あの二人できてるってホンマ??」
「ぶっ!!!」

早田の不躾な質問に反町は思わず口をつけていたコーヒーを吹き出した。

「ちょ、オマエきったな!」
「ごめん・・・」

反町は自分の周りに飛び散ったコーヒーをティッシュで拭きとった。
ただ幸いにも広範囲ではなかったようで、早田の方には及んでいないようだった。

「ホンマ・・・こっちまで飛んだらクリーニング代出してもらうとこだったで」
「・・・ごめん。だけどさ、いきなりその質問はないだろ」

日向と若島津――明和小、東邦学園、そして現在を経て二人はほとんど一緒に行動していた。
ワールドユース以降は互いの事情で離れてしまうことはあるものの、
合流するとすぐに二人はいつも一緒にいた。
そしてその様子が単なる友情だけで結ばれたものではないことには誰の目にも明らかだった。

特に、東邦学園時代は二人の関係については周知の事実であったが、
チームメイト内では誰も触れないようにするのが暗黙の了解であった。
ただ一人、小学校から二人の、特に日向の後をついてきたタケシを除いては。

「イヤ、いつか聞こか思うてたんやが、コトがコトやからなかなか聞けへんやったんや」
「それならなおさら心の準備が要るだろうが・・・」
「まあ、エエやん。で、ホンマのところどんな関係なんや?あいつらは」
「まったくお前というやつは・・・あんまり他の奴らにいいふらかすなよ?」

反町は困惑していたが、反面、この男になら話してもいいだろうと思った。

「当たり前や、今まで俺がそんなんしたことあったか?」

案外早田はこう見えて口が硬いのだ。
それに、このいまいましい事実について早田と共有することで彼らに対抗したい気持ちもあった。

「・・・それなら、話そう」

反町は口を開いた。カップのコーヒーは冷め切っていた。

作品名:ウワサの真相 作家名:クリスチーネ中西