吸血鬼ネタ
「朴…」
「なんです…ん」
「ちゅ、はっ…ぐちゅ…」
名前を呼ばれて先輩の方を向くと、目を閉じた先輩の顔が近くにあって唇に柔らかいものが当たってて、キスされてると分かった途端に舌が割り込むように入ってきた
罰ゲームでやったラップ越しに感じた温度より冷たくて、だけど口内を荒らしてる舌は熱くて…何が何だか分からなくなっていると先輩が寝ていた簡易ベットに押し倒されていた
「ん…はっ…、…せ、んぱ…ぢゅ…」
「ぐちゅ…は、ふっ…ちゅ」
離れていった先輩の唇は濡れていてそこだけ違うもののように見えて、ぼーとした頭で見ていると先輩が僕の首に噛み付いてきた。痕を残すようにするとか甘噛みとかじゃなく、肉を食いちぎるぐらいの強さだった
「ぜ、んぱ…っ!!い、たい…いたい!!」
「ぢゅ…じゅるぅ…、…ぐちゅっ」
「ひっ、い…あ゛、ぁぁぁぁ…!」
イタイイタイイタイイタイ!!
焼きつけるような熱さと血がどんどん抜けていく状況に頭が動かない。目からポロポロと涙が流れて止まらない
ゆっくりと首から顔を上げて僕の顔を覗き込むように見てくる先輩の顔は無表情で、目はいつものキラキラした目ではなく、ギラギラした獲物を見ている獣のような目で背筋が恐怖でゾクゾクする
すると先輩は糸が切れたように意識を失って僕の上でぐったりと倒れた。さっきまでの事が嘘のようにも思えた…けど、先輩に噛まれたところがグズグズと熱くて現実の事だったと思い知らせてくる
「朴!大丈夫…じゃないよな?平気か?」
「そ、せんぱっ…!」
ドアを開けて入ってきたのは奏先輩で、この状況を見ると顔を歪めて僕の上に乗っているアキラ先輩を引き離した
「…ごめん、そろそろアキラがこうなるかもって思ったんだけど、朴がいるとは思わなくって…」
「せ、んぱいは…なんであーなっちゃんたんですか?先輩って…」
「…俺とアキラは吸血鬼、だ」
「きゅう…けつ、き…」
「そう、今までは先生から貰ってたし俺はアキラ見たくならないから安心しろ」
そこからわかりやすく話をしてくれた。今までのこと先輩たちは事情を知ってる先生から血を貰ってること、奏先輩と先生が契約しているということ。
契約のことについて話は聞かせてくれなかったけど、奏先輩の顔はいつもに増して真剣そのものだった
「そろそろ、あいつも俺みたいに誰かと契約していれば朴が怪我をすることもなかったんだけど…朴は、嫌になったか?」
「何が…ですか?」
「俺とアキラが吸血鬼だって知って、嫌いになったか?」
「そりゃぁ…びっくりしましたけど、先輩は先輩でしょ?それに先輩たちだって辛いこともあっただろうし…今までと変わんないですよ!」
「だそうだ。アキラ」
そういいながらアキラ先輩がいる方を向くとさっきより顔色がよくなった先輩がいた
「お前は…本当に大丈夫なのかよ?」
「さっきみたいに急にあんなことされたから怖かったけど…先輩のこと好きだもん!!」
「お前は、大丈夫なのかよ?」
「何がですか?」
「俺と契約しなくちゃいけなくなったら…とか」
床を見ながら話しているアキラ先輩は、いつもの姿とかけ離れていていつもよりも大きな声で答えた
「僕、アキラ先輩となら隷属の契約してもいいですっ!!」
「ばっ…!泉、お前何教えてんだよっ!!」
「へ?僕何か変なこと言った?!」
「いや…契約の事とかお前が話せばいいだろ?もう大丈夫そうだから、俺は帰る」
「あ、ちょっ!泉!!」
顔が髪の毛とおんなじくらい真っ赤になったアキラ先輩を置いて奏先輩は、逃げるように出ていった
「はぁー…マジかよ…」
「え?何がですか?え?」
なんでこんなに先輩が慌ててるようになったんだろうとか思いながらも先輩が話しかけるまで僕は動けなくなった…