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　これほどまで強大な闇の力の前に立ちはだかれるのは、イリスのような聖なる力を持つ者か、あるいはデュラハン同様暗黒の力を持つ者だけだった。
「みな……さん……」
　イリスは体中に走る痛みにこらえながら、何とか声をひねり出す。
「逃げ……て！」
「ふははは……！　己が身を犠牲にしてまで仲間を、人間どもを庇おうというか。うん……？　そうだ、良いことを思い付いたぞ。貴様を我が一部とする前に、こやつらをなぶり殺してやろう！」
　イリスは目を見開いた。
「それだけは……！　くっ、皆さん！　何をしているのです、早くこの場から逃げて……！」
　大声が体に響いたのか、イリスは顔をしかめる。
「ふはは……、逃がさぬ。誰一人として生かしてはおかぬ」
　ふと、シャリン、と剣を抜く音が辺りに響いた。