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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 17

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 そしてついに、巨大だったマーズの灯火は、一握りの小さな玉へと姿を変える。
 シレーネは、再びエレメンタルスターへと戻った、マーズスターを手に、デュラハンへと歩み寄った。
「これで全ての灯台は消えましたわ」
 シレーネは四つのエレメンタルスターをデュラハンに差し出す。
「ご苦労だったな、シレーネ」
 デュラハンはエレメンタルスターを受け取り、手の上に浮遊させた。
「これから先は、このエレメンタルスターに我が魔の力を加え、暗黒錬金術を作り出す。我が統治する真の暗黒世界を作り上げるのだ! ふふふ……、はははは……!」
 デュラハンは笑い声だけを残し、シレーネと共に、イリスを引き連れてマーズ灯台から消えていった。イリスが宙に引き上げられると、彼女の懐からラピスラズリが零れ落ちた。テレポートのラピスは、灯台にからからと音を立てて転がった。
 デュラハンが消え、風の音だけが響く静かな空間となったマーズ灯台に、がちゃっ、と金属音が鳴った。
 センチネルはまだ振るえる体を自ら支えながら、立ち上がった。
「……デュラ、ハン……。貴様は、俺が、必ず……!」
 センチネルは、地に転がったソルブレードとカタストロフを拾い上げ、魔法で翼を開いた。
 そこへ、空間に水泡が集まり、人型を成して人間が現れた。
「おやおや……、ずいぶん派手に散らかしたものですね……」
 水中にいるかのように、水色の髪を揺らめかせる男、アレクスは人がごろごろ倒れている惨状を見て、ため息を付いた。
「……アレクス、何をしに来た?」
「デュラハン様の行動は、全て神殿の中から見ていました。さすがに目に余る光景でしたので、つい来てしまいましたよ」
「ふん、そうか……」
 センチネルは、それ以上興味がないといった様子で、翼を広げた。
「貴方もかなりのダメージを受けていたではないですか。よろしければお送りしますが?」
「……必要ない」
 センチネルはそれだけ言って飛び去っていった。
 アレクスは再びため息を付く。
「灯台を消したかと思えば、暗黒錬金術ですか。これは何とかしなくてはなりませんね……」
 アレクスは水色の輝きを身に宿し、エナジーを解放した。
『ピュアウィッシュ』
 倒れて気絶するロビン達の傷を、蒼色の光が癒していった。
 僅かながらも、デュラハンの野望を阻止し得る可能性のある彼らに、まだ死んでもらうわけにはいかなかった。
 暗黒の力などには興味のないアレクスにとって、デュラハンを再臨させたのは仇となった。こうなれば、ロビン達にデュラハンを葬ってもらうより他ない。
「一芝居うつしかありませんね……」
 アレクスは独り言を言うと、魔術を使い、アレクスの思念を与えた分け身を作り出した。それはアレクスのような姿をしているが、ほとんど水が人型を成しているものである。これがアレクスの分け身と分かる者は恐らくいないであろう。
 ここにいる皆が目を覚ました時、喋りはじめるよう、分け身に仕掛けを施すと、アレクスもその場を去ろうと、魔法を使う。
ーー何とか一カ月、引き延ばさねば……!ーー
 アレクスの姿は水泡と化し、消えていくのだった。