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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 17

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「貴様に付けた枷の効果は、貴様の力を落とすためだけではない。我の左手には、貴様の動きを封じられる宝玉が埋め込まれているのだ。そう、貴様が我に仇なそうとした時のためになぁ!」
 デュラハンが力を左手に集中させると、赤黒い光は強さを増し、センチネルに与える苦痛もより強いものとなった。
「ぐああ……!」
 センチネルは叫びをあげると、地に伏して動かなくなった。
「おっと、これ以上は奴を殺してしまうな……」
 デュラハンは左手を握り締め、不気味な光を断った。同時にセンチネルの鉄仮面に埋め込まれた宝玉も輝きを失い、元の状態へと戻る。
「……デュラ、ハン!」
 気絶したかと思われたセンチネルであったが、体を振るわせながら何とか立ち上がろうとした。しかし、苦痛の根源がなくなった今も、まだダメージが残っており、再び倒れ込んでしまった。
「ふん、殊の外頑丈な奴よ。だが、無理は利かぬようだな。覚えておくがいい。その宝玉がある限り、貴様は我に復讐することは叶わぬ、とな」
 ふはは、とデュラハンは輝きを止めた左手をセンチネルに向けながら、笑った。
 ふと、デュラハンの隣に水泡が出現した。それは人の形を取っていき、次第に正体が露わとなる。
「デュラハン様、お待たせいたしました……」
 水を纏ってその場へ出現したのは、シレーネであった。デュラハンの命令通り、マーズ灯台を除く三つの灯台の灯を、邪法によって消し去ってきたのだ。
「シレーネか、よい所へ戻ったな。見よ、お前が作り、施した枷の宝玉は、見事なまでの効果を発揮した……」
 デュラハンは右手に持つ剣の先で、地に伏し振るえるセンチネルを指した。
「私の呪法を宿した宝玉を使ったのですか!? では、センチネルは我が君に傷を……? 許すまじき事にございます。私の宝玉は彼の者の脳を潰すことが可能、すぐさま殺すべきです!」
 センチネルがデュラハンに害をなした事を知り、シレーネは激昂する。しかし、対称的にデュラハンは落ち着き払い、憤怒するシレーネを宥めた。
「少し落ち着くのだ、シレーネ。奴は我を仇敵とする者。しかし、復讐心から来る力は大きなものとなる。お前がくれた枷もあるのだ。利用価値は十分にあろう?」
「ですが……!」
 シレーネは許せなかった。愛する者の命を狙い続ける存在を仲間とするのは、絶対に認められない事だった。
「我が平気と言っているのだ。奴は魔に堕ちたとは言え、かつては騎士。正面から勝負を挑むことをする事はあろうと、裏から我が命を狙う真似はせぬだろう。まあ、例えどのように来ようとも、シレーネ、お前が側にいれば、恐れる事はなにもない……」
 デュラハンはシレーネを抱き寄せた。
「我が君……」
 シレーネはデュラハンに頼られていると分かると、それ以上は追求せず、自らも身を寄せた。
「……して、シレーネよ。我が申しつけた通り、灯台は消してきたのであろうな?」
 シレーネはデュラハンから下がり、念じると、空間から三色の輝きを放つ玉を出現させた。
「あれは、エレメンタルスター!」
 ガルシアは叫んだ。水色、黄色、紫色の輝く玉には、ガルシアはよく覚えがあった。
「そんな、せっかく灯した灯台が、また……!」
 スクレータも絶句していた。
「でかしたぞ。それでこそスターマジシャンの称号を持つ魔女よ」
 デュラハンはシレーネを褒める。
「灯台を消すにはかなりの魔力を要するが故、少々時間がかかってしまいました。申し訳ありません……、私がもっと早くに戻っていれば、あの不届き者からデュラハン様をお守りできたといいますのに……」
「その事はもう良い、それよりもシレーネ。お前にもうひと働きしてもらう。最後の灯台を、消せ……」
「仰せのままに……」
 シレーネは浮遊し、紅蓮に輝く、マーズの灯火の前に立った。
「させるか!」
「最後の灯台だけでも守り抜く!」
 ジェラルド、ガルシアといった戦える者は武器を取った。
「おおおお!」
 ジェラルドは大声を上げながら、シレーネに斬りかかった。
『ミスティック・コール!』
 シレーネは赤にまだら模様のボールを複数出現させ、ジェラルド目掛けて突進させた。
「うわあああ!」
 ボールはジェラルドに触れると、爆発した。
「ジェラルド!」
 ピカードがジェラルドへ駆け寄る。ジェラルドは体のあちこちに火傷を負い、痛みに喘いでいた。
「くっ! 近づくのは危険か、ならば……!」
 ガルシアは、剣にエナジーを集中させ、振り上げた。同時に、上空へ大きな剣の形をしたエナジーが出現する。
『ラグナロック!』
 剣を振り下ろすと、上空のエナジーはシレーネに向かって飛んでいく。
『バリアアンシル』
 ガルシアのエナジーは障壁に阻まれ、エナジー自体が持つ巨大な力を返され、砕け散ってしまった。
「何!?」
『ミスティック・コール!』
 シレーネは紫のボールを出現させる。
「今度は、少し痛い目に遭いなさい」
 紫のボールは、ガルシアの前後を塞ぐと、電撃を放った。
 大きなエナジーを放った後で、隙だらけのガルシアは電撃をまともにくらってしまった。
「ぐあああ!」
 ガルシアは地に伏した。
「あんた達も眠っていなさい」
 シレーネは『ミスティックコール』で更に三体の紫のボールを呼び出し、立ち上がっている者全てに、放った。
 紫のボールは電撃を発し、ピカード達に襲いかかった。
「うわあああ!」
「ああああ!」
「きゃああああ!」
「ぎえええ!」
 ピカード、イワン、メアリィの叫び声上がり、スクレータまでもが電撃を受けた。
 電撃を受けた者達は倒れ、そのまま気絶してしまった。
 五個のボールは全て、残ったシンへと迫る。
「なめるな!」
 シンは前方から迫り来るボール三個を一閃し、後方にてシンにねらいを定める二個は飛び上がって攻撃をかわした。
 いつもなら、空を舞った時はエナジーを使うが、今のシンにはエナジーがなく、大きな隙をさらしてしまっていた。
 それが分かるかのように、紫のボールは下から電撃を撃ち出そうとしている。
「チッ!」
 シンは双刀を、下のボールに向かって投げつけた。見事にボールは二個貫かれ、動きを止め、地に転がった。シンの手を放れたことで、漆黒と白銀の双刀は、一回り小さい普通の短刀となる。
 シンは地に下り立った。その時。
「マインボール!」
「ぐわあああ……!」
 地に立つその瞬間を狙い、シレーネは大きな光球を撃ち出したのだ。
「さすが、あのセンチネルとまともに勝負できてただけの事はあったわ。でも、残念だったわね」
 シンはセンチネルとの激闘の後で、万全でない状態で強烈な一撃をくらい、倒れるしかなかった。
「こん、ちきしょうが……、クッ!」
 シンはどうにか立ち上がろうとしたが、力尽き、気を失った。
 シンまでもが倒れ、ロビン達はとうとう、全滅してしまった。
「脆弱なものよ……」
 自らに仇なす、全ての存在が倒れた様子を認識し、デュラハンは声高らかに笑った。
 シレーネを邪魔する者もいなくなり、彼女は魔術によって、最後の灯台を消す。
 紅蓮のマーズの灯火は、魔法により、少しずつ縮小を始めた。それはあたかも、氷が溶けていくように、ゆっくりとした変化であった。