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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 17

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 魔女は罠が成功した仕掛け人のように、愉しげに笑い声を上げた。
「『バリアアンシル』……!? では、まさか……!?」
 障壁は漆黒の鏡から出ているものだとばかり思っていた。
「アハハハ……! 悪魔様が復活するのに焦って、女神様ともあろうお方が冷静さを失ったのかしら? 滑稽ねぇ、あたしの罠とも知らないで!」
 鏡から出ていたのは、邪悪な力であり、障壁など形成していなかったのである。魔女の言う通り、イリスは鏡を狙うあまり、障壁を罠とは知らず、漆黒の鏡が出しているものだと思い込んでいた。
「でも、あたしの頑丈な障壁を破るなんて、天界で最強の名は伊達じゃないわね。そんなあんたにプレゼントをあげるわ。大悪魔デュラハン様を目の前でお迎えできる特等席をね!」
「シレーネ……! こうなれば、あなただけでも!」
 イリスは翼を広げ、虹の光輪を纏った。そして両手を胸の前にやり、神のエナジーを集中させる。
『アルカン・エクス……!』
「あら残念、時間よ」
「なっ!?」
 突如発せられた、これまでにない暗黒の力を浴び、イリスのエナジーは消えてしまった。
「こんなに暗黒に包まれちゃあ、いくら天界最強でもお得意の聖なる力は使いにくいでしょ?」
 シレーネは鏡より発せられる黒い光を、まるで日の光のように、両手を広げ、迎えた。
「さあ、我が麗しの主、大悪魔デュラハン。いざ還りたまえ……」
 漆黒の鏡より発せられる暗黒の光は、マーズ灯台の灯火を覆うように、灯台全体を照らした。その光は、灯台にいる全ての者の視線を集めるのに十分だった。
 刃を交えるシンとセンチネル。回復して間もない状態のロビンとジャスミン。石化がまだ解けず、首だけを上空へ向けるガルシア。回復に当たっていたピカードにメアリィ。野獣、バルログと交戦していたイワンとジェラルド。大槌を持ち、シバを小脇に抱えるバルログと抱えられているシバ。そして安全な場所で皆を見守っていたスクレータ。
 そこにいた全員が漆黒の鏡を見やる頃、鏡にひびが入った。ひび割れは中心から縦一直線に広がる。
 ついに鏡は両断された。真っ二つに割れた鏡は、浮遊したまま左右それぞれ動いていく。そのようすはまるで門を開くようであった。
 二つの隙間には、暗黒の何かが蠢く空間が広がっていく。
 空間は時折バチバチと放電しながら、その入り口を広げていく。そして、鏡のあった場所には、鏡の何倍もの大きさを誇る円形の、暗黒の空間とこの世界を繋ぐ門ができあがった。
 門の右側に、真っ黒な手が掛けられた。それと同時に、黒い足、黒い胴体と全てが黒に満たされたものが姿を現した。
ーー……デュラハン……ーー
 その場の全員の頭に、重低音の声らしきものが響いた。
「そんな……、あの破壊神が……!?」
 絶望に満たされるイリスをよそに、シレーネは歓喜に涙していた。
「お帰りなさいませ……、我が偉大なる主、デュラハン様……!」
 全てが漆黒の存在、天界で最強を誇る女神に破壊神と呼ばれ、戦慄さえも覚えさせる大悪魔、デュラハンは今まさに、現世へ再臨を遂げた。