デュエット試聴で小ネタ&感想
本音とは?(凛遙)
「なあ、ハル」
「なんだ」
「ぶつかり合って初めて気づけた本音って、なんだ?」
凛は遙の眼を真っ直ぐに見て問いかけた。
期待している。
遙の口から聞きたいこと、遙に言わせたいことがある。
遙は無表情をほんの少しも崩さずに答える。
「サバがうまいということだ」
「って、それ、ぶつかり合わなくても気づいてた本音だろ!?」
「いや、ひとり暮らしをするようになって、料理を自分でするようになり、サバとぶつかりあって初めて、サバはうまいと気づいたんだ」
「嘘くせえよ!」
「嘘じゃない。サバがうまいのは本当のことだ」
「だから、そーゆーことじゃねえよ!」
「落ち着け、凛。そうだ、こういうときにはサバを食ったらいい。料理してやるから待ってろ」
「おい、ハル、逃げんじゃねー!」
今日もまた凛は遙に好きだと言ってもらえなかったのだった……。
作品名:デュエット試聴で小ネタ&感想 作家名:hujio