花見日より
「興味無い。」
「ツナ達も来てたな。」
「草食動物は群れるのが好きだからね。」
「骸も居たかな、そう言えば。もう消えちまってるかもだが。」
「・・・不愉快だね。何故最初に言わないのかな。」
「だってあいつらも花見に来てるみたいだったしさ、」
まぁワザワザ騒ぎ起こして
「折角綺麗に咲いてる花散らす事もねぇだろ?」
「・・・アナタってつくづく」
よく解らない感覚してるよね
と
半分食べたホットドッグ
男に押しつけツンとする
「もう、いいのか?」
「もういい。半分食べた。」
「お前ってホント小食だよなぁ?普通食い盛りの年頃に。」
「関係ない。」
「じゃ、貰うな?」
「勝手に食べれば。」
「いただきます。」
行儀良く
日本風の挨拶をしてがぶりと食いつく
その笑顔
「・・・何がそんなに嬉しいワケ?」
「んん?そりゃだって」
桜は見頃だし
「お前も綺麗だしな?」
「突き落としてあげるよ。」
「わわっ、待てって恭弥、今コレ食ってるから!」
「知らないね!」
「わっ、危ねぇ!止せ恭弥!!」
突き落とすと
言った言葉と裏腹に
自分が先に腕を引き
飛び降りるのは屋上からで
給水塔のすぐ脇は
地上までの高さはおよそ4階分
「・・・ったく、オレが間に合わなかったらどーすんだ」
このジャジャ馬が
と
鞭に揺られて
ジャジャ馬が
跳ね馬に抱き抱えられて地上の遙か10m
「間に合ったじゃない。」
「信頼してくれてんのか試されてんのかどっちだよ?」
「さぁね?」
ユラユラと
揺られてしばし
空中散歩
「ねぇ、口の横にケチャップついてるけど。」
「さっき口に押し込んだからだろ。取ってくれ。」
「この体勢で腕動かせると思うの?」
「手を使わなけりゃいいだけだろ?」
ニッと輝くとび色の
瞳を見つめ好戦的に
黒の瞳が輝き出して
咬み殺して欲しいんなら
そう言いなよと
咬みついた
夕暮れの
迫る並盛宵桜
露店の賑わい
笑い声
今年も綺麗に咲いた花
風が吹く度
微笑むように
ちらちら
揺れて
散ってゆく