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機動戦士ガンダム IFU 第一章

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「間に・・・合わなかった・・・」
 シュンは先程強奪された『MSGM』と交戦状態に入ったという本部直属第八戦闘機部隊の元へと急いで向かったのだったが、一足遅かった。彼はこの『MSGM』のもつ恐るべき性能に、彼らの危機を感じたのである。
 報告があった海域に到達したが、そこには敵味方両方の機影も無く、シグナルもロストしている。
 ふと、シュンが海面に目をやると、何かが浮かんでいた。カメラをズームアップして確認する。
「・・・!」
 そこに浮かんでいたのは、ビリアスの国旗が描かれている、味方機の翼の破片であった。
 シュンは片手で頭を抱え、苦い表情を浮かべる。
 その時、レーダーが一機の機影を捉えた。
“何だ?!”
 それはこちらに向かって真っ直ぐに飛んでくる。システムが自動識別を行い、シュンに向かってくる機体の正体を教える。
“これは・・・『MSGM』!?”
 レーダーの画面に表示されたのは、『MSGM-03 バビロン』だった。
“な、何で?!”
 味方を落とした機体の内の一機が、あろうことか戻ってきているのである。シュンは一瞬目を疑った。
“・・・まさか、残った機体を破壊する為に?・・・でも、何で一機だけ・・・”
 思考を巡らせている間にも、バビロンは迫ってくる。
“・・・考えるのは後だ・・・こいつをどうにかしないと!”
 シュンはインフィニティの武装をもう一度確認した。

 シュンの駆る機体『MSGM-01 インフィニティ』は、バビロンと同じく近~中距離戦を得意とする。
 ただ、バビロンがビームサーベルを主体とした攻撃重視の機体なのに対し、こちらは射撃重視となっている。
 ビームライフルを二つ両肩に装備しており、肩にバビロンと同じく対艦バズーカを装備、腰にはなんとレールガンを持つ。流石に艦船に装備されるものより威力は劣るが、展開から発射までが通常兵器とほぼ変わらない程の速さであり、同じ『MS』や戦闘機程度ならひとたまりも無い。艦船でさえ大ダメージを負う事になる。但し、展開から発射までの時間の短縮を極限まで求め、色々と省ける部分を省いた為に威力の減衰率は高い。バビロンのビームライフルと同じく、近~中距離のインフィニティだからこそ有効な装備なのである。
 さらに腹の部分に大口径のエネルギー砲を持つ。これは艦船の主砲にも匹敵する威力を持つ。が、これも同じく減衰率は高い。これはいくら核とは言えど、連射をし続けては流石にエネルギーを大きく消費する事になる為、威力に支障が出ない範囲で出力を抑えた結果である。
 そしてビームサーベルはバックパックに二本装備されている。但し、こちらはバビロンのものとは異なり、連結不可である。

 機体の肩に装備されているビームライフルを取り、左腕に収納されている熱強化型形状記憶合金式シールドを展開する。そして、迫り来るバビロンへと向かった。










 二機の距離はあっという間に埋まり、敵機はバビロンへと斬りかかってきた。
「・・・何?!」
 ウルは今の敵機の先制攻撃に対してではなく、敵機の外面に驚いた。
“――この機体は・・・いや、そんなはずは無い・・・だが、何故?!”
 彼は驚きながらも、自機を巧みに操り、斬りかかってきた敵機の腕を掴んだ、敵機はすぐに反応し、もう片方の腕で展開しているシールドをこちらに押し付けようとしてきた。
「!」
 スロットルレバーを一気に押し上げ、敵機の腕を押し返す。敵機は一瞬バランスを崩し、こちらにシールドを押し付ける事が出来ずに、後退を余儀なくされた。だが、すぐに持ち直し、こちらとの距離を少し取って静止する。隙の無い体勢だ。しっかりとこちらの攻撃に備えて構えている。
 すぐに冷静さを取り戻したウルは、先程の疑問の答えを自分で導き出した。
“そうか・・・ビリアスがあの機体を手に入れていたに違いない・・・そう考えれば、こんなにもはやく人型兵器の開発が成功したのにも頷けるし、この機体の事も説明がつく。”
 そう考えた彼は、レーダーに機名が表示された敵機への通信回線を開いた。

 彼の疑問は解けた。
 だが彼の意味深な発言は、一体何を意味するのであろうか。








《応答してくれ。》
「――っ?!」
 シュンは動揺を隠せなかった。
 その動揺は敵からいきなりの通信が来た事よりも、その敵の声からきていた。
《応答してくれ。シュン・アラク。》
 こちらの名前まで知っている。
 だが、その事には違和感を覚えなかった。
 相手の声には聞き覚えがあった。



「まさ・・・か・・・」


 懐かしい声。


 ずっと憧れていた声。


 大好きだった声。


 今は“亡き筈の”兄の声。


「兄・・・さん・・・?」