こらぼでほすと 秘密1
「そうなんだ。俺、前回は寝てばかりでエターナルの内部は見てないからなあ。」
「今後も乗ることは、あんまないんじゃないかな。基本、オーナーの移動用だからさ。」
のんびりと身体を温めて、さっと髪と身体を洗って出てきたら、すでに料理が用意されていて、さらにカガリは本館の風呂に遠征したらしく浴衣姿で茹で上がっていた。
「おい、アスハ。これ、五人で食えるか? 」
机に乗り切らないので、予備机も用意されて、そちらにも料理がある。シンでも驚く量だ。
「悟空も来てると思ってたから、ちょっと量が多すぎたな。」
「悟空は三蔵さんと本山へ出張なんだ。誰か呼ばないと消費は厳しいぜ? 」
「いいさ。残ったら、どうにかしてくれる。とりあえず、食えるだけ食おう、シン。」
いつもなら、トダカの親衛隊なり、カガリの親衛隊なりが同行しているが、今回は家族旅行なので誰も来ていない。もちろん、警備の人間は、旅館内にいるはずだが、そちらを呼び出すのもおかしいから、カガリは、そう言って、トダカにビールを注ぐ。
「カガリ・ユラ・アスハ、はじめてまして。僕、リジェネ・レジェッタ。」
日頃から寺で、挨拶をしつけられたリジェネは、とりあえず初対面のカガリに手を差し出す。
「ああ、ティエリアの兄貴なんだってな? よろしく、リジェネ。私のことは、カガリでいい。 ニールは、私のおかんでもあるから権利は平等に、だ。」
カガリも、ざっくばらんに挨拶して手を差し出す。ようやく、リジェネも、こういう場雨に臆さなくなった。寺は出入りが激しいから、一々気にしていてはやってられないからのことだ。
「キラと双子なんでしょ? 」
「でも、二卵性だから、そっくりそのままってわけじゃないだろ? ニールとロックオンみたいなわけじゃない。そんなことは、おいおいに話そう。とりあえず、乾杯だ。おまえは酒は飲めるのか? リジェネ。」
「少しぐらいなら。」
「じゃあ、ビールで乾杯ぐらいは付き合え。おかんは飲むなよ? 」
「ビールぐらいは付き合うさ。てか、おまえも飲みすぎるなよ? カガリ。飲むより食うほう優先だ。シンもな。」
「わーってるよ、ねーさん。レイからも飲むなって言われた。」
「ママ、これ、動いてるよっっ。わぁーっっ、なんかギシギシ言ってるっっ。」
「それ、イセエビって言うんだ。踊り食いって言って生きてるのを食うんだ。・・・・じゃあ、かんぱーい。いっらっしゃい、ニール。」
カガリは大騒ぎで場を盛り上げている。とりあえず、乾杯するのが食事の作法なので、ニールもビールに口をつける。予備机にある船盛りは、魚やらイセエビやらがてんこ盛りになっていて、まだピクピクしている状態だ。
「結構、残酷? 」
「生きてるのを食うから新鮮なんだ。リジェネ。それに、ちゃんと食うんだから残酷じゃない。」
「トダカさん、刺身、取りましょうか? 」
「ああ、適当に盛ってくれるかい? 娘さん。」
料理は、オーヴと特区の有名どころがチョイスされていて、和洋揃っていて、ニールやリジェネでも食べられる。リジェネは動いているイセエビが気になって、ちょいちょいとつついている。
「それ、明日の朝、味噌汁にしてもらうからな。これが、またうまいんだ。」
「ああ、そういう食べ方もあるのか。」
「魚介類って出汁がでるからね。・・・・これ、久しぶりだなあ。娘さん、これ、食べてご覧。」
トダカが指差す小鉢をニールも味見する。こりこりしたゼラチン質な食べ物に香味野菜が入っている。
「これ、いけますね? 」
「それ、クラゲだ。」
「え? クラゲって食べられるんですか。」
「生でもいけるらしいけど、これは干して戻してあるから食感がいいんだ。」
「ママ、僕にもアーン。」
リジェネが横で、パカッと口を開けるので、ニールが一つまみ放り込む。こりこりして、リジェネもおいしーと笑った。
「アスハ、てめぇー一人でアワビを食い尽くすなっっ。」
「足りなきゃ追加しろ。私は、これが好きなんだ。」
空腹だったシンとカガリは、これだけ量があっても争奪戦だ。リジェネのほうは、見たこともない料理が多いから、ニールが口をつけたものを同じようにフォークでつついている。トダカは、なかなか楽しいと、ご満悦で、冷酒を飲みながら鑑賞だ。
作品名:こらぼでほすと 秘密1 作家名:篠義