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こらぼでほすと 秘密3

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深夜にはならなかったが、ニールが滞在する旅館に辿り着いたのは真夜中近い時間だった。オーヴのファクトリーからヘリで本島へ入り、そこからクルマで移動した。きっちり三時間だ。キラたちは、そのままファクトリーのほうで泊るので、そこで別れて来た。連絡が届いていたのか、旅館の玄関は開いていて、旅館のスタッフが待っていた。そこに、リジェネも一緒に待っていた。
「リジェネ、待っててくれたの? 」
「きみたちの気配を感じたからね。ママは、もう寝てるよ? 」
「そうだろうなあ。さすがに、この時間じゃね。」
「でも、姿は見たいぞ、リジェネ。」
「うん、わかってる。こっちだよ。」
 旅館のスタッフに待っていてくれた礼だけ告げて、リジェネの案内で離れに入る。居間に顔を出したら、トダカとシンが飲んでいた。
「早かったな、アレハレ、ティエリア。」
「なんとか終わらせてきたよ。・・・・でも、強行軍だったから昼から何も食べてないんだ。」
「ああ、アスランから連絡が入ったから、夜食だけダイニングに用意してあるぜ。」
 一分一秒が惜しいと、休憩ナシにミーティングをやってMSを最高速でぶっ飛ばしてきた。だから、二人とも空腹だ。
「とりあえず、ニールの顔を拝んでおいで。リジェネくん、案内してあげなさい。」
 摂るものも摂り合えずやってきた目的を果さないと、ゆっくりできない。トダカが、そう命じると、リジェネが、うん、と、案内する。


 それを見送って、シンとトダカは顔を見合わせて苦笑した。別に体調不良でもないし、オーヴまで遊びに来られるほどに回復していても、やはりティエリアもアレハレもニールの姿は確認したいものらしい。
「ねーさんって、大変だな? とーさん。」
「あの子が悪いんだよ。親身になって世話するから、子供ばかり増えるんだ。いや、亭主も獲得してるから、悪いというのもおかしいか。」
 たまには、付き合え、と、トダカがシンに薄いお湯割りの焼酎を用意した。かなり薄くしてあるので、シンでも付き合える。
「俺、あんな世話好きな人間って、ねーさんしか見たことないぜ? 世の中に、あんな人、他に居るかな。」
「いないことはないと思うけど、稀少だろうね。・・・というか、シン、あんなお嫁さんは貰っちゃダメだよ? ダメ人間一直線だ。」
「くくくくく・・・そうだよなあ。なんでもやってくれちゃう奥さんなんて、俺、なんもしなくなるな。でもさ、仕事に理解があって、そういう意味では有り難いかな。俺らの仕事って、毎日、帰宅できるようなもんじゃないし、何ヶ月も仕事で出張ることもあるしさ。」
 シンは将来的に、キラたちがプラントに戻る時は、一緒に戻ってザフトに復職する予定だ。戦艦勤務なんかだと半年留守なんてことになるから、付き合ってくれる相手を探すのも難しい。
「それは、相手次第だろう。」
「でも、とーさんは婚期を逃したんだよな? 」
「私の場合は、仕事が楽しすぎたんだ。婚活すらしてないから、できる道理がない。おまえ、今がチャンスだろ? アカデミーで、見つけられないのかい? 」
「そう言われてもなあ。同じゼミの人間とかサークル関係の女の子とかいるんだけど、いまいち、ピンと来ないんだよな。まあ、努力はするけどさ。・・・・それより、とーさん、レイ、なんでギルさんとこへ帰ったの? 緊急じゃないって言ってたけど、珍しい。」
「たまには、顔を合わせておきたいんじゃないか? ギルさんも。レイの長期休みも少ないからね。」
 シンは、レイの身体の事情を知らない。だから、急に帰郷することになって驚いた。レイ本人は、ギルからの呼び出しだから戻って来る、とは言っていたが、ニールと出かける予定のほうが先に入っていて、それを反故にしたのが、ちょっと不思議だ。レイは、ニールと出かけるのを、それはそれは楽しみにしていたからだ。トダカは諸事情を知っているが、いつか、レイが自分で話すだろうから、それについては触れない。
「まあ、そうなんだけど。」
「レイがいなくて寂しいのかい? 」
「いや、そんなことはないさ。レイが、ねーさんとの約束を破ったのが、ちょっと解せないってだけだ。あいつのことだから、あちらに半分、こっちに半分にするのが、いつもの行動だ。」
 普段のレイなら、保護者のリクエストなんて、ブッ千切って、こちらに参加する。それが、大人しく従ったから不思議だ。
「ギルさんとやらなきゃいけない手続きとかあるんだよ。一応、養子ということになってるけど、法的な手続きは存在するからね。」
「あーそうなんだ。そっか、あいつ、表向きには他人になってたもんな。それで、帰ったのか。なるほど。」
 実際、レイの身柄は保護者の議長様が握っているが、正式な手続きはしていない。なんせ、レイには時間がないから、そんなことをしても無意味だからだ。だが、表向きの理由なら、それは納得のいくもので、シンも納得した様子だ。
「明日は、どこへ行こうか? シン。アレルヤくんたちも合流したから、半日は海でもいいかな? 」
「うーん、別に陸でもいいんじゃね? どうせ、ねーさんが草臥れちまうから、夕方、早めに戻るだろ? 珊瑚礁は明後日にしようぜ、とーさん。一日かかるとこなんだろ? 」
「そうだな。ヘヴンズビーチまで行くとなると一日仕事だ。お弁当してもらって、ビーチで休憩にしよう。あそこなら、無人島だから、何をやっても問題はない。泳ぐつもりなら、着替えも用意しておきなさい、シン。」
 全長二キロの白い砂浜がある無人島というのがある。通称ヘヴンズビーチと言うのだが、軍の演習区域で民間人は入れない穴場の場所だ。その周辺なら、見事な珊瑚礁が広がっているし、ほとんど誰も立ち入らないから貸切状態になるらしい。だから、シンは行ったことがない。今回の目玉だと聞いていた。これもトダカだから行ける場所だ。
「日中なら泳いでもいいかな。アレルヤたちにも言っておこう。水着あるかな。なかったら、明日、買い物すりゃいいか。」
「そうだな。ここ数日は快晴らしいから、泳げるだろう。明日、ニールにも説明してやってくれ。」
「了解。・・・・てか戻ってこないな? あいつら。ねーさんの寝顔でも鑑賞してんのか? 」
 結構、時間は経過しているはずだが、戻って来る気配がない。みんなで、ニールの寝顔を鑑賞しているとしたら、それはそれでおかしなことだ。ただの三十路の男の寝顔なんて鑑賞して楽しいとは、シンは思えない。
 あれ? と、思っていたら、足音が複数戻って来た。ようやく、鑑賞会は終わりか、と、シンが笑っていたら、障子を開いたのはニールだ。
「あれ? 」
「娘さん、起きたのかい? 」
「夜食だけ食べさせたら寝ます。はい、ティエリア、アレハレ、こっちだぞ? 」
 背後から、ちょこまかとティエリアとアレハレが従っている。どうやら、声で目を覚ましてしまったらしい。最後にカガリが残念そうな顔でやってきた。
「・・・ティエリアの声で、一発で起きた・・・・」
 カガリが、そろそろ深く眠っただろうと思っていたら、ティエリアとアレルヤたちが静かに入ってきた。傍らに近寄って、「ニール、ただいま。」と、声をかけたら、パチッと音がしそうな勢いで瞼が開いたのだそうだ。
作品名:こらぼでほすと 秘密3 作家名:篠義