こらぼでほすと 秘密5
「そうだな。・・・・ああ、カガリ。あいつらの場合は、新婚旅行とかセッティングしてやってくれよ。刹那のやつ、ロックオンと二人で旅行とかしてないから、できたら、そういうのもやらせたいんだ。」
結婚したとは言うものの、仕事以外に、二人で行動することがないと、実弟は漏らしていたので、兄としては、そこいらの願いは、なんとかしてやりたい。
「ニール、あほライルと二人なら、どこでも同じです。わざわざ、そんなセッティングしてやる必要はない。」
「刹那は、ニールのところが一番のんびりできるんだから、休みぐらい好きにさせてやりなよ。」
しかし、だ。普段の実情を知っているティエリアとアレハレは反対だ。どうせ、爛れた生活になってしまうのだから、わざわざ旅行に出る必要はない。
「いや、一応、あいつら、新婚じゃないか。おまえさんたちだって新婚旅行してるんだろ? うちの実弟にも、それをやらせてやりたいじゃないか。」
「僕らは観光もするけど、ロックオンは絶対にやらないよ。それなら、ニールが刹那と温泉でも行ったほうが、刹那は喜ぶと思うけど? 」
「この間、それはやった。」
刹那の誕生日祝いは、ニールの独占だったので、丸二日間、のんびりとしていた。本当にリラックスできたので、夫夫でもやればいい、と、ニールは言うのだが、そんなもの・・・と、ティエリアは一笑した。
「断言してもいいが、あのアホに、そんな楽しみ方はありません。それに、あいつらはトレミーで同室で暮らしているんですから、それで十分です。刹那のためなら、あなたのところへ戻るほうが休暇になります。」
「ティエリア、そのあほは俺の弟で、おまえらよりは年上なんだが? 」
「事実は、そうですが、あなたとは違います。カガリ、そういう予定なら、是非、ニールと刹那でセッティングしてやってくれ。そのほうが刹那は喜ぶ。」
「うん、私も、そう思う。あいつ、ニールといると可愛いくらいに甘えてるもんなあ。」
カガリからしても、刹那はニールにだけ甘えただ。休暇なら、心と身体を休めるほうがいいのだから、ティエリアたちの意見に同意する。
「あいつ、トレミーで何をやってるんだ? アレルヤ。」
「僕らが呆れるようなことを、日々やらかしてるので、ニールと比べて悲しくなる。仕事は、きちんとしてくれるんだけどね。日常がね。」
と、溜め息混じりに苦笑するアレルヤの姿で、実弟は何かしらやらかしているらしい。組織に招聘したのは、ニールなので、ちょっと申し訳ない気分になる。
「・・・うん・・・ごめん? 」
「あなたが謝る必要はありません。あれはあれで、刹那が可愛いと言うので、それでいいと俺たちも認めていますから。」
「・・・うん・・・でも、なんかごめん。今度、ロックオンが戻ったら注意しとくよ。」
「別に、刹那が言うには、『俺の嫁はアホで可愛い。』って言うから修正しなくていいと思うよ。そこが刹那の気に入ったポイントみたいだからさ。」
「娘さん、夫夫の関係なんて、各人で違うんだから、それは気にしなくていいんだよ。刹那君が、そういうロックオン君を愛してるんなら
、それはそれで幸せなんだから。」
「そりゃそうですが。なんで、そんなにアホ認定を受けるのか、俺は不思議ですよ。うちの弟、社会性もあるし、頭もいいのに。」
「だから、刹那君にだけはアホなんだろ? 甘えてるんじゃないか? というか、そういうことにしておきなさい。」
「ママ、パパイヤ、あーん。」
もう、その話はいいから、と、リジェネがパパイヤをニールの口元に差し出す。ぱくりと食べて、そういうもんなのかなあーとニールは首を捻っている。
「だからな、ニール。キラだって電脳世界じゃ敵知らずだし、MSに乗せれば 『白い悪魔』だが、普段は天然電波満載のバカだろ? あれと一緒だ。」
「あー、そう言われると、ちょっと納得。」
「だろ? たまに、私だって、本当にキラはスーパーコーディネーターなのかって切なくなる。」
「アスハ、それ、たぶん全員が思ってるぞ。キラさんは、普段ののほほんぶりから豹変するからな。ねーさんはキラさんの鬼っぷりを知らないから、わかんないんだよ。」
そうシンもカガリに同意する。普段のキラはぽややんだが、事が起これば豹変して、適切に処置するからだ。戦場にいれば、鬼だとシンは思う。不殺ではあるが、容赦はない。まあ、それからすれば、あほのロックオンのほうが驚かなくて済む程度だ。
「そういうもんなのかなあ。」
「そういうことにしておきなさい。」
「ママ、これ、剥いて。」
リジェネにライチを持たされて、はいはい、と、ニールは剥きにかかる。ティエリアの分は、アレルヤが剥いている。
「私は、ロックオンとは、ほとんど接触してないんだが、双子でも違うものなんだな。」
「おまえが言うな、アスハ。おまえもキラさんと双子だろ? 」
怖ろしく共通項のない双子なので、シンも最初は面食らった。性格もやることも真逆な双子で、どっちにしろ、とんでもないと思ったのは内緒だ。
「そうか、キラとカガリも双子だもんね。ティエリアとリジェネだって双子みたいなものだけど、性格が全然違うから、そう言われると、すごく納得できる。」
「なんか双子だらけだな? 」
「それも性格の違う双子ばっかりだ。」
「でも、ティエリアとリジェネって寝起きは同じだぜ? なあ、アレルヤ? 」
「うん、うにょうにょしてるよね。」
今朝のティエリアとリジェネを思い出して、ニールとアレルヤが微笑む。同じ遺伝子情報を搭載しているので、どこかは似ているらしい。えっとティエリアとリジェネが互いを見たので、周囲は大笑いだった。
作品名:こらぼでほすと 秘密5 作家名:篠義