こらぼでほすと 秘密6
翌朝も快晴だった。昨日より早めにニールは起こされた。ヘヴンズビーチまでは、かなりの距離があるし、そこまでの道中にも、いろいろと鑑賞するものがあるらしい。
「ごはん、いらなーい。」
「ダメだ。ほら、タマゴかけご飯なら食べられるから。口開けろ。」
まだ寝たりないリジェネは、ぶーぶー文句を言うので、ニールがタマゴかけごはんを作って食べさせている。
「ニール、不公平だ。俺にも食べさせろ。」
「はいはい、ほれ、あーん。」
「えー、僕にもしてよ? ニール。」
「ああもう。ほら、アレハレ。」
三人のヒナもどきにスプーンで食べさせているニールは忙しくて、自分が食べている暇はない。ごはんだけでなく、途中途中に、おひたしや煮物も箸で口に放り込んでいる。カガリとシン、トダカは、その光景に呆気にとられている。すでに成人年齢に達したはずの三人が食べさせてもらっているのだから、かなり不思議な光景だ。
「なあ、シン。うちのおかんの分は握り飯でも用意してもらうか? 」
「そうだな。移動中に簡単に摘めるやつがいいな。あれじゃあ、ねーさんは食う暇がねぇーな。」
「大丈夫。今度は、僕らが食べさせるから。」
もぐもぐと口を動かしていたリジェネが、新しいタマゴかけごはんを作成しはじめた。食後にクスリを飲ませないといけないので、少しでも食べさせるのは基本だ。
「それなら、自分で食べてくれ。」
「やだ。それはそれ、これはこれ。ティエリア、おかず担当してね? 」
「了解だ、リジェネ。アレルヤ、魚を分解してくれ。」
「わかってる。ニール、僕、口が空だよ? 」
「だから、おまえら、自分で食え。」
「「「やだ。」」」
餌付けされるのが楽しいので、自分で食べる気はさらさらない。もう、と、口では文句を言ってるが、ニールも楽しいらしい。ここんところ、リジェネに食べさせているからクセになっているのもある。少し前に、リジェネが精神的に不安定になったので、さんざんに甘やかした結果だ。リジェネのほうも、ティエリアからニールの取り扱いは説明をされているから、食わないなら無理矢理詰めろ、を実行している。
「大丈夫みたいだな。」
「ああ、そうみたいだな。時間は? 」
「あと三十分くらいで出発ってとこだな。間に合うだろう。トダカ、うちのクルマで送るからクルマは置いておけ。帰りも送らせる。」
レンタカーも勝手にキャンセルされていてカガリの家のワゴンが用意してあった。今日は、カガリも見送りに行くので、さらに大きめの車が用意されたらしい。
「帰りは時間がわかりませんから、お借りしたクルマで私が行きますよ、カガリ様。」
「トダカ、おまえ・・・・なんで、そんなに水臭いんだ? それに、おまえが運転なんかできると思うのか? どうせ、港にトダカーズラブかウヅミーズラブが待ってるぞ? 送ってもらえ。」
カガリの言い分は正しい。初日は、シンが運転するから、と、断れたが、送迎用のクルマとか護衛のクルマは港にいたことはいたのだ。
「ただの家族旅行なんですけどねぇ。」
「諦めろ。」
トダカがオーヴに戻っているということで、ウヅミーズラブのメンバーも逢いたいとは思っているらしい。今回は、家族旅行だから旅館への挨拶は控えているが、港や送迎なら、というところだと、カガリに言われて、トダカもやれやれと息を吐いた。だから、あまりオーヴには戻りたくないのだ。戻ると、大概、夜はウヅミーズラブが毎晩入れ替わりで現れて宴会状態になってしまうのだ。今回は、家族旅行だと宣言しているから、乱入されないで済んでいる。そう考えると、送迎ぐらいはしょうがないか、と、諦めることにした。
いってらっしゃい、と、カガリに見送られて出航した。小型のクルーザーの運転は、シンがトダカに教えてもらいながらやっている。シンもザフトにいたから、大抵の免許は取得しているが、地上の船舶なんて使うことがないから持っていなかった。
「僕、免許はないけど運転は出来るから疲れたら代わるからね? シン。」
アレハレは、免許は取得していないが、ほとんどの動くものは動かせる。ニールも同様だ。裏社会のテロリストには免許なんて必要ではないから実践あるのみだったからだ。
「シン、あの緑の小島を左に旋回して岬沿いに、しばらく走らせてくれるか? 」
「了解。」
景色の綺麗な場所を選んで操行させて、トダカが途中途中に解説もしてくれる。波の浸食でできた大きな空洞やら、波で削られた奇妙な岩なんてものが、ごろごろしている。今日は、なぜかトダカーズラブのメンバーは港に居なかった。いつもなら、何人かは同行するのだが、珍しく仕事だったらしい。と、トダカは思っていたが、三時間ばかり船を走らせて、目的地付近に到着して、あーあーと呆れた声をあげた。そこには護衛艦やら大型クルーザーやらが、わんさか錨を下ろしていたからだ。さすがにヘヴンズビーチは砂浜で大型の艦船は侵入できないから、入り江の入り口に待機させて、そこからは小型艇で移動しているのだろう。
「トットダカさん? あれ・・・」
「うん、待ち伏せされたみたいだよ、娘さん。まあ、案内するなら、ここだと狙いを定めてたんだろうな。・・・・誰だ? 護衛艦なんか持ち出したバカは・・・」
カガリのクルーザーなら、まあ、いいとしよう。軍の小型護衛艦で乗り付けたバカには説教しなければなるまい。
「あー、俺、カガリに目的地を喋ったもんなあ。」
前日、シンはトダカと打ち合わせをしていて目的地を口にした。カガリも誘ったから、確定されたに違いない。
「いや、この船の航跡をレーダーで抑えられてたら、カガリ様に告げてなくても、こうなってたさ、シン。まあ、いいよ。あの入り江に侵入してくれ。・・・みんな、入り江を廻ったら、綺麗だから見てなさい。」
島をぐるりと回り、入り江に侵入すると、眼の前には真っ白なビーチだ。軍の演習地域であるし、入り江の中なので、あまり知られていない穴場の場所だ。二キロにも及ぶ砂浜と背後の緑の林で、見事なコントラストになっている。
「砂浜だから、熱帯魚なんかは少ないけど、泳いだりするには、もってこいなんだ。無人島だから、ここの景観は崩れないであるんだろうね。」
「うわぁー綺麗。見て、ニール、海も白っぽくなってきた。」
クルーザーで入れる限界まで侵入していくと、下の砂が透けて見えるようになる。砂というよりは、珊瑚の死骸が多く含まれていて白いのだそうだ。
「大型の動物や危険な動物はいませんか? トダカさん。」
「たぶん、ヤギはいるけど海辺には下りてこないな。あまりジャングルの奥に入ると爬虫類がいるから、それには気をつけてくれ、ティエリアくん。ニールも入っちゃダメだよ? 」
「とーさん、サメは? 」
「それはいるはずだが、私は泳いで遭遇したことはない。」
「じゃあ問題はないな。・・・・とーさん、どこいらまで寄せられるんだ? 」
「ああ、ここからは操縦を代わるよ。」
「ごはん、いらなーい。」
「ダメだ。ほら、タマゴかけご飯なら食べられるから。口開けろ。」
まだ寝たりないリジェネは、ぶーぶー文句を言うので、ニールがタマゴかけごはんを作って食べさせている。
「ニール、不公平だ。俺にも食べさせろ。」
「はいはい、ほれ、あーん。」
「えー、僕にもしてよ? ニール。」
「ああもう。ほら、アレハレ。」
三人のヒナもどきにスプーンで食べさせているニールは忙しくて、自分が食べている暇はない。ごはんだけでなく、途中途中に、おひたしや煮物も箸で口に放り込んでいる。カガリとシン、トダカは、その光景に呆気にとられている。すでに成人年齢に達したはずの三人が食べさせてもらっているのだから、かなり不思議な光景だ。
「なあ、シン。うちのおかんの分は握り飯でも用意してもらうか? 」
「そうだな。移動中に簡単に摘めるやつがいいな。あれじゃあ、ねーさんは食う暇がねぇーな。」
「大丈夫。今度は、僕らが食べさせるから。」
もぐもぐと口を動かしていたリジェネが、新しいタマゴかけごはんを作成しはじめた。食後にクスリを飲ませないといけないので、少しでも食べさせるのは基本だ。
「それなら、自分で食べてくれ。」
「やだ。それはそれ、これはこれ。ティエリア、おかず担当してね? 」
「了解だ、リジェネ。アレルヤ、魚を分解してくれ。」
「わかってる。ニール、僕、口が空だよ? 」
「だから、おまえら、自分で食え。」
「「「やだ。」」」
餌付けされるのが楽しいので、自分で食べる気はさらさらない。もう、と、口では文句を言ってるが、ニールも楽しいらしい。ここんところ、リジェネに食べさせているからクセになっているのもある。少し前に、リジェネが精神的に不安定になったので、さんざんに甘やかした結果だ。リジェネのほうも、ティエリアからニールの取り扱いは説明をされているから、食わないなら無理矢理詰めろ、を実行している。
「大丈夫みたいだな。」
「ああ、そうみたいだな。時間は? 」
「あと三十分くらいで出発ってとこだな。間に合うだろう。トダカ、うちのクルマで送るからクルマは置いておけ。帰りも送らせる。」
レンタカーも勝手にキャンセルされていてカガリの家のワゴンが用意してあった。今日は、カガリも見送りに行くので、さらに大きめの車が用意されたらしい。
「帰りは時間がわかりませんから、お借りしたクルマで私が行きますよ、カガリ様。」
「トダカ、おまえ・・・・なんで、そんなに水臭いんだ? それに、おまえが運転なんかできると思うのか? どうせ、港にトダカーズラブかウヅミーズラブが待ってるぞ? 送ってもらえ。」
カガリの言い分は正しい。初日は、シンが運転するから、と、断れたが、送迎用のクルマとか護衛のクルマは港にいたことはいたのだ。
「ただの家族旅行なんですけどねぇ。」
「諦めろ。」
トダカがオーヴに戻っているということで、ウヅミーズラブのメンバーも逢いたいとは思っているらしい。今回は、家族旅行だから旅館への挨拶は控えているが、港や送迎なら、というところだと、カガリに言われて、トダカもやれやれと息を吐いた。だから、あまりオーヴには戻りたくないのだ。戻ると、大概、夜はウヅミーズラブが毎晩入れ替わりで現れて宴会状態になってしまうのだ。今回は、家族旅行だと宣言しているから、乱入されないで済んでいる。そう考えると、送迎ぐらいはしょうがないか、と、諦めることにした。
いってらっしゃい、と、カガリに見送られて出航した。小型のクルーザーの運転は、シンがトダカに教えてもらいながらやっている。シンもザフトにいたから、大抵の免許は取得しているが、地上の船舶なんて使うことがないから持っていなかった。
「僕、免許はないけど運転は出来るから疲れたら代わるからね? シン。」
アレハレは、免許は取得していないが、ほとんどの動くものは動かせる。ニールも同様だ。裏社会のテロリストには免許なんて必要ではないから実践あるのみだったからだ。
「シン、あの緑の小島を左に旋回して岬沿いに、しばらく走らせてくれるか? 」
「了解。」
景色の綺麗な場所を選んで操行させて、トダカが途中途中に解説もしてくれる。波の浸食でできた大きな空洞やら、波で削られた奇妙な岩なんてものが、ごろごろしている。今日は、なぜかトダカーズラブのメンバーは港に居なかった。いつもなら、何人かは同行するのだが、珍しく仕事だったらしい。と、トダカは思っていたが、三時間ばかり船を走らせて、目的地付近に到着して、あーあーと呆れた声をあげた。そこには護衛艦やら大型クルーザーやらが、わんさか錨を下ろしていたからだ。さすがにヘヴンズビーチは砂浜で大型の艦船は侵入できないから、入り江の入り口に待機させて、そこからは小型艇で移動しているのだろう。
「トットダカさん? あれ・・・」
「うん、待ち伏せされたみたいだよ、娘さん。まあ、案内するなら、ここだと狙いを定めてたんだろうな。・・・・誰だ? 護衛艦なんか持ち出したバカは・・・」
カガリのクルーザーなら、まあ、いいとしよう。軍の小型護衛艦で乗り付けたバカには説教しなければなるまい。
「あー、俺、カガリに目的地を喋ったもんなあ。」
前日、シンはトダカと打ち合わせをしていて目的地を口にした。カガリも誘ったから、確定されたに違いない。
「いや、この船の航跡をレーダーで抑えられてたら、カガリ様に告げてなくても、こうなってたさ、シン。まあ、いいよ。あの入り江に侵入してくれ。・・・みんな、入り江を廻ったら、綺麗だから見てなさい。」
島をぐるりと回り、入り江に侵入すると、眼の前には真っ白なビーチだ。軍の演習地域であるし、入り江の中なので、あまり知られていない穴場の場所だ。二キロにも及ぶ砂浜と背後の緑の林で、見事なコントラストになっている。
「砂浜だから、熱帯魚なんかは少ないけど、泳いだりするには、もってこいなんだ。無人島だから、ここの景観は崩れないであるんだろうね。」
「うわぁー綺麗。見て、ニール、海も白っぽくなってきた。」
クルーザーで入れる限界まで侵入していくと、下の砂が透けて見えるようになる。砂というよりは、珊瑚の死骸が多く含まれていて白いのだそうだ。
「大型の動物や危険な動物はいませんか? トダカさん。」
「たぶん、ヤギはいるけど海辺には下りてこないな。あまりジャングルの奥に入ると爬虫類がいるから、それには気をつけてくれ、ティエリアくん。ニールも入っちゃダメだよ? 」
「とーさん、サメは? 」
「それはいるはずだが、私は泳いで遭遇したことはない。」
「じゃあ問題はないな。・・・・とーさん、どこいらまで寄せられるんだ? 」
「ああ、ここからは操縦を代わるよ。」
作品名:こらぼでほすと 秘密6 作家名:篠義