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こらぼでほすと 秘密7

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「組織や『吉祥富貴』に、陰ながらご支援いただいて、ありがとうございます。何かと、ご迷惑をかけているかもしれませんが、どうぞお許しください。お陰で、うちの子たちも無事に生き延びることができました。感謝いたします。」
 再始動の後半は、ニールも情報をある程度、確保させてもらった。オーヴもマイスター救助の支援をしてくれた。こっそりとだが、キラたちが動きやすいように援護してくれていたのだ。そこいらの指示は、カガリだけでなく、ウヅミーズラブの動きも大きかったはずだ。だが、具体的な単語は口にせず、ざっくりとした言葉にはした。言質を取られるとマズイ場合もあるからだ。
「結構な挨拶、いたみいります、ニールくん。我らもキラ様のお考えに賛同するものです。それは、ウヅミ様が提唱する平和に近いものでありましてな。だから、お礼は結構です。」
「我々からもお礼を言わせていただこう。きみたちの働きで、アローズは費えた。ありがとう、お疲れ様。」
「いえ、俺は何も・・・」
「そうでもないだろう。きみが背後で、きみの大切な子たちを応援してたから、きみの大切な子たちも頑張れたんだ。」
「本当に完治してよかった。トダカが心配してたからねぇ。私たちにまで、他に治療法はないものか、と、連絡してきたぐらいさ。」
「何も出せなかったボンクラのクセに。」
「しょうがないだろ。キラ様が世界中を探して見つからないものは無理だ。」
「だいたい、完治したと解った途端にメールで一斉配信して喜んでたのは、どこの親バカだ? どこの。」
「そうそう、何度も何度も。嬉しいのはわかるが、一回でわかるぞ。」
「今後の予定なんかも送ってきたな。温泉は行けたのか? それから、二人きりでお祝いは? 」
「喜んで年甲斐もないステップでも踏んでたんじゃないのか? 」
「どうせ、親バカのトダカのことだから出迎えて、実感してたんだろ? 可愛いのは解るけど、ひどい溺愛だ。ニールくんが溺れるぞ? 」
 かなり心配をかけていたのは解っていたつもりだが、一桁組の話を聞いていると、相当に心配してくれていたらしい。何も言わない人なので、そこまでとは知らなかった。トダカは確かに出迎えてくれたが、穏やかに、「おかえり。」 と、微笑んだだけだ。
「・・・トダカさん・・・」
「だって、完治したって言われたら、喜ぶだろ? 娘さん。その喜びは、誰かに伝えたいじゃないか。うちは、みんな、キラ様からのメールで知ったから、他には、こいつらしかいなかったんだ。」
「・・・・すいません。心配かけて・・・ほんと、もう・・」
「もういいんだ。完治したんだから。きみも頑張ったんだ。」
「・・はい・・・」
 もちろん、裏でユニオン追い出し大会を徹底的にやるが、止めるな、というメールも一斉配信されていた。それはニールが知らないことだから、一桁組も口にしない。トダカを本気でキレさせてはいけない、というのはウヅミが存命中から命じていた事柄だから、どれほどのことか、一桁組は、よーく知っていた。ウヅミですら、キレたトダカには敵わなかったからだ。
「ちょっとおやつでも口にするかい? 果物は、まだあるな? アイスティーはないか? 」
 ちょっと泣きそうになっているニールを椅子に座らせて、果物を寄せて、親衛隊に飲み物を注文している。もう、どんだけメロメロなんだよ、と、一桁組は内心でツッコミだ。
「・・・ああ、すいません・・大丈夫です・・・おとうさん・・」
 ニールが顔を上げてニコッと微笑んだら、トダカも嬉しそうに笑う。本気で可愛くて溺愛しているらしい、というのが、よくわかる光景だ。
「うん、確かに可愛い。」
「トダカが溺愛するのは解る気がする。」
「ニールくん、今度、おじさんが特区に行ったら、デートしようか? 」
「スイカは、どうだい? おいしいよ? 」
 三十路のニールでも、一桁組からすると、子供みたいなものだ。構われると照れるのか、ニールは困ったようにトダカのほうを見る。
「うるさいじじいどもだ。喉だけ潤して、あちらに合流しなさい。・・・デートしたければ、私を倒してからにするんだな? 」
「ああ、本気だ。」
「バカがいるな。」
 慌てて用意されたアイスティーをニールに手渡して、トダカは五人を睨む。
「この子は人気者で独占が出来ないんだから、おまえらまで参戦するな。」
「『吉祥富貴』で指名すれば独占できるんじゃないか? 」
「すいません、俺、ほとんど店表には出てないんです。」
「そうなのか。うーん、それは残念。」
「お酒は? 」
「今は、まだ飲めなくて・・・」
「トダカと温泉には入ったのかい? 」
「ええ、宿泊してる旅館の温泉に入れてもらってます。露天風呂は気持ち良いですねぇ。俺、こっちに来て、あの入浴法を知ったけど、身体が温まるけど、頭は涼しいからゆっくりできて気に入ってますよ。」
「ああ、極東は温泉が豊富で、私たちは湯船に浸からないと入った気がしないんだ。」
「トダカさんも、そう言って、毎日、湯船で融けてます。」
「いいなあ、トダカ。娘さんと一緒に露天風呂かぁ。」
「羨ましいだろうが貸してはやらないからな。」
「トダカさん、大人気ないことを。」
「ほら、ニールくん、甘いものは、どうだね? いろいろとあるよ? 」
「すいません。お腹は一杯です。みなさんは・・・飲むほうですね。お酌しまょうか? 」
「ああ、いいねぇ。美人のお酌は歓迎だ。」
 難しい話ではないので、ニールも気軽に話を返す。全員に酌をしてアイスティーに口をつけたら、背後からガバリと抱きつかれた。
「はーい、タイムアップッッ。ママ、プカプカしよ? 」
「お久しぶりです、みなさん。そろそろ、ママニールは返していただきますよ? 」
 キラとアスランが、起きたニールに気付いて乱入してきた。一桁組のじじいーずに独占されるわけにはいかない。あんまり独占されると、ハレルヤが再び降臨することになる。
「いっておいで。」
「はい、では、みなさん、失礼いたします。」
 キラに手を引かれたニールが軽くお辞儀して挨拶すると、一桁組も手を振っている。波打ち際では、アレハレがニールの分の浮き輪を持って待っていた。頭から浮き輪を被せると、深さが腰ぐらいまで進んで、そのまま海に投げ込んだ。勢いで、浮き輪が外れてニールは水中に沈んでいる。
「こらぁーーーーーハレルヤッッ、万死に値するぞっっ。」
 慌ててティエリアとリジェネが救助に向かう。そして、投げたハレルヤはシンとキラのダブルライダーキックで吹っ飛ばされた。
「いいねぇー若いもんは。」
「元気だなあ。」
 宴会席のじじいーずは、それを鑑賞しつつ、宴会を再開した。本日は、オフなので堅い話はしない。ウヅミーズラブのささやかなホリデーであるらしい。懐かしい話をして場は賑わっていた。
作品名:こらぼでほすと 秘密7 作家名:篠義