こらぼでほすと 秘密9
結局、寺に戻ったのは夜遅くになった。トダカーズラブの特区組が、十数人集まってくれたので、入りきらない食材は、どうにか食べ切れた。ハイネはラボの留守番だったから、ダコスタが顔を出し、ついでに鷹夫婦もやってきて、大いに賑わった。適当に焼くと煮ると刺身あたりを手早く、爾燕と八戒と親衛隊の料理できる人間で作り上げて、トダカたちが戻った時には、宴会は始まっていた。
「八戒さん、悟浄さん、留守番ありがとうございました。・・・えーっと、さらになんですが・・・これ、お土産です。」
トロピカルフルーツ盛り合わせを土産に渡して、ニールも苦笑する。まさか、こんな大きな差し入れが届いているとは思わなかった。
「ありがとうございます。これは、うちで消費させていただきますね。一応、明後日まで保つものは冷蔵庫に、それから保たなそうなのは冷凍庫に投げ入れてあります。それから、エビは、店の冷蔵庫に、そのまま保管してますので、明後日、取りに来てください。」
寺の冷凍冷蔵庫は、パンパンに積めてあるから、その説明を八戒がしてくれる。まあ、明後日には悟空が戻ってくるから、消費はできるだろう。
「のんびりさせてもらったのか? ママニャン。」
「上げ膳据え膳で、グータラさせてもらいました。」
「そりゃいいこった。どうせ、あの鬼畜坊主が戻ったら、ゆっくりできないんだからさ。」
「それはそれで、俺は楽しいですけどね。」
「おまえだけだと思うぞ? その意見は。」
「まあまあ、悟浄。夫夫なんて、それぞれなんですから。とりあえず、消費に貢献してください。これだけいれば、なんとかなります。」
なんてことで、全員で、わーわーと食事して、寺に戻ったのは、ニールとリジェネだけだ。帰って、シャワーだけ浴びて脇部屋に引き取った。まだ一日は、ゆっくりできるから、朝寝坊してもいいな、と、ニールは思っていたのだが、そうもいかなかった。
翌朝、リジェネが先に目を覚ました。うにょうにょと目を擦って起き上がったら、ママは、まだ寝ている。疲れたのかな、と、起き出して朝の支度しようと障子を開いたら、雨だった。豪雨というほどではないものの、しとしとと降っている。
・・・マズイッッ・・・・
戻って、ママの額に手を置くと、かなり熱い。リジェネが、ひぃっと声をあげたら、ママは、うっすらと目を開けた。
「・・・リジェネ・・・ごめん・・・トダカさんに連絡・・・」
「トットダカさん? 」
「・・うん・・・雨で動けないって・・・助けてって。」
全身が倦怠感満載状態で起き上がれない。昨晩は、なんともなかったから忘れていたが、まだ、完全に復調しているわけではない。気圧変化でダウンしたらしい。いきなり、ヴェーダとリンクしてパニックになられても困るから、ニールのほうはトダカに連絡を頼んだ。トダカなら、ドクターを呼ぶなり、八戒を派遣するなり、なんとかしてくれるはずだ。
リジェネも命じられて、慌てて携帯端末でトダカに連絡したら、あちらは、すでに動いていた。雨だと判明して、すぐに本宅のドクターを手配してくれたらしい。たぶん、まもなく到着するから山門を開けておいてくれ、と、言われて、リジェネも走る。
リジェネの足音を聞きながら、ニールは、まだダメなんだなあ、と、ちょっと残念な気分で目を閉じていた。
ドクターが、本当に、すぐに現れて、さらにトダカも駆けつけてきた。診察結果は、いわずもがなの気圧変化と疲労だ。トダカも、そうだろうと思っていたから慌てない。
「ちょっと熱があるけど、この雨は午後には上がるから寝ていればいいだろう。」
「・・・まだ、ダメなんですねぇー・・・」
「まあ、いきなりの気圧変化には対処ができないんだろう。それは徐々に治まるものだから。気分は? 」
「・・・頭が痛いかな・・・」
「じゃあ、鎮痛剤入りの栄養剤あたりでいいな。」
ドクターも、この辺りだろうという薬剤は持参していたから、それらをセッティングして点滴を施した。大丈夫だよ、と、顔色の悪いリジェネにはトダカが相手をして落ち着かせる。
「飛行機に乗って、それから店で食事したから疲れたんだろう。大したことはない。大丈夫かい? リジェネくん。」
「・・うん・・・今日は、ママが喋ってくれたから・・・」
「ニールも慣れているからね。悪いんだが、チューブパックの栄養剤とポカリを買って来てくれないか? それから、きみの朝ごはん。まだだろ? 」
「・・うん・・・」
旅行から戻った翌日で、寺の備蓄が、どうなっているか、よくわからない。近くのコンビニまでリジェネを走らせることにした。シンは遊び疲れて爆睡しているのか、連絡すらない。そのうち、目が覚めたら連絡があるだろう。
「一人がダメなら、このじじいと行くかい? 」
「ううん、行って来る。トダカさんは、ママのところに居て。」
かなり精神年齢が低いので、リジェネが動けなくてもしょうがない、と、トダカは余裕だ。だが、リジェネもすくっと立ち上がって、脇部屋を飛び出ていった。おつかいぐらいなら、なんとかなるらしい。
「ドクター、休みなのにすいません。」
「いや、予報が雨だったから、もしやと思って待機してたんだ。」
「そうでしたか。私は、うっかりしていて天気の確認を怠りました。まだまだ、うちの娘さんは目が離せない。」
「まあ、健常体とは言っても、すぐに元通りというわけにはいきません。旅行なんて非日常なものに出かけると、気分が高揚して疲れを忘れますからね。・・・・それぐらい楽しかったんじゃないですか? 」
「ええ、楽しそうでした。」
「なら、いいじゃないですか、トダカさん。運良くというか、三蔵さんたちが帰るのは明日だ。それまでには回復します。」
一日大人しく休めば、回復する程度のことだから、ドクターも慌てない。そろそろ細胞異常は完治するはずだが、完治するだけだ。これから、体力やら免疫力は回復させていくことになる。マイスターだった頃の以前の状態に戻るには、まだまだ時間は必要だ。
「八戒さん、悟浄さん、留守番ありがとうございました。・・・えーっと、さらになんですが・・・これ、お土産です。」
トロピカルフルーツ盛り合わせを土産に渡して、ニールも苦笑する。まさか、こんな大きな差し入れが届いているとは思わなかった。
「ありがとうございます。これは、うちで消費させていただきますね。一応、明後日まで保つものは冷蔵庫に、それから保たなそうなのは冷凍庫に投げ入れてあります。それから、エビは、店の冷蔵庫に、そのまま保管してますので、明後日、取りに来てください。」
寺の冷凍冷蔵庫は、パンパンに積めてあるから、その説明を八戒がしてくれる。まあ、明後日には悟空が戻ってくるから、消費はできるだろう。
「のんびりさせてもらったのか? ママニャン。」
「上げ膳据え膳で、グータラさせてもらいました。」
「そりゃいいこった。どうせ、あの鬼畜坊主が戻ったら、ゆっくりできないんだからさ。」
「それはそれで、俺は楽しいですけどね。」
「おまえだけだと思うぞ? その意見は。」
「まあまあ、悟浄。夫夫なんて、それぞれなんですから。とりあえず、消費に貢献してください。これだけいれば、なんとかなります。」
なんてことで、全員で、わーわーと食事して、寺に戻ったのは、ニールとリジェネだけだ。帰って、シャワーだけ浴びて脇部屋に引き取った。まだ一日は、ゆっくりできるから、朝寝坊してもいいな、と、ニールは思っていたのだが、そうもいかなかった。
翌朝、リジェネが先に目を覚ました。うにょうにょと目を擦って起き上がったら、ママは、まだ寝ている。疲れたのかな、と、起き出して朝の支度しようと障子を開いたら、雨だった。豪雨というほどではないものの、しとしとと降っている。
・・・マズイッッ・・・・
戻って、ママの額に手を置くと、かなり熱い。リジェネが、ひぃっと声をあげたら、ママは、うっすらと目を開けた。
「・・・リジェネ・・・ごめん・・・トダカさんに連絡・・・」
「トットダカさん? 」
「・・うん・・・雨で動けないって・・・助けてって。」
全身が倦怠感満載状態で起き上がれない。昨晩は、なんともなかったから忘れていたが、まだ、完全に復調しているわけではない。気圧変化でダウンしたらしい。いきなり、ヴェーダとリンクしてパニックになられても困るから、ニールのほうはトダカに連絡を頼んだ。トダカなら、ドクターを呼ぶなり、八戒を派遣するなり、なんとかしてくれるはずだ。
リジェネも命じられて、慌てて携帯端末でトダカに連絡したら、あちらは、すでに動いていた。雨だと判明して、すぐに本宅のドクターを手配してくれたらしい。たぶん、まもなく到着するから山門を開けておいてくれ、と、言われて、リジェネも走る。
リジェネの足音を聞きながら、ニールは、まだダメなんだなあ、と、ちょっと残念な気分で目を閉じていた。
ドクターが、本当に、すぐに現れて、さらにトダカも駆けつけてきた。診察結果は、いわずもがなの気圧変化と疲労だ。トダカも、そうだろうと思っていたから慌てない。
「ちょっと熱があるけど、この雨は午後には上がるから寝ていればいいだろう。」
「・・・まだ、ダメなんですねぇー・・・」
「まあ、いきなりの気圧変化には対処ができないんだろう。それは徐々に治まるものだから。気分は? 」
「・・・頭が痛いかな・・・」
「じゃあ、鎮痛剤入りの栄養剤あたりでいいな。」
ドクターも、この辺りだろうという薬剤は持参していたから、それらをセッティングして点滴を施した。大丈夫だよ、と、顔色の悪いリジェネにはトダカが相手をして落ち着かせる。
「飛行機に乗って、それから店で食事したから疲れたんだろう。大したことはない。大丈夫かい? リジェネくん。」
「・・うん・・・今日は、ママが喋ってくれたから・・・」
「ニールも慣れているからね。悪いんだが、チューブパックの栄養剤とポカリを買って来てくれないか? それから、きみの朝ごはん。まだだろ? 」
「・・うん・・・」
旅行から戻った翌日で、寺の備蓄が、どうなっているか、よくわからない。近くのコンビニまでリジェネを走らせることにした。シンは遊び疲れて爆睡しているのか、連絡すらない。そのうち、目が覚めたら連絡があるだろう。
「一人がダメなら、このじじいと行くかい? 」
「ううん、行って来る。トダカさんは、ママのところに居て。」
かなり精神年齢が低いので、リジェネが動けなくてもしょうがない、と、トダカは余裕だ。だが、リジェネもすくっと立ち上がって、脇部屋を飛び出ていった。おつかいぐらいなら、なんとかなるらしい。
「ドクター、休みなのにすいません。」
「いや、予報が雨だったから、もしやと思って待機してたんだ。」
「そうでしたか。私は、うっかりしていて天気の確認を怠りました。まだまだ、うちの娘さんは目が離せない。」
「まあ、健常体とは言っても、すぐに元通りというわけにはいきません。旅行なんて非日常なものに出かけると、気分が高揚して疲れを忘れますからね。・・・・それぐらい楽しかったんじゃないですか? 」
「ええ、楽しそうでした。」
「なら、いいじゃないですか、トダカさん。運良くというか、三蔵さんたちが帰るのは明日だ。それまでには回復します。」
一日大人しく休めば、回復する程度のことだから、ドクターも慌てない。そろそろ細胞異常は完治するはずだが、完治するだけだ。これから、体力やら免疫力は回復させていくことになる。マイスターだった頃の以前の状態に戻るには、まだまだ時間は必要だ。
作品名:こらぼでほすと 秘密9 作家名:篠義