こらぼでほすと 秘密10
「・・・そうだなあ、レイは健康だ。風邪も引かないしな。俺のほうが看病してもらってばかりだ。」
「ママの看病は、俺たち子供の責任です。少しずつ散歩もしましょう。夏にはプラントです。」
「・・うん、そうだな。そろそろ体力づくりしてもいいかな。・・・ギルさんに連絡したのか? 」
「まだ、ですが・・・そのうちに。」
「リジェネと、なんかあったか? 」
「いえ、ママの子供として俺たちは仲良くしていますよ、ママ。あなたのお陰で、俺にも新しいものが増えた。感謝します。」
ママに出会う前のレイなら、自分の時間を引き延ばすなんて考えもしなかっただろう。この時間が大切だと教えてもらったから、最後まで抵抗する気持ちも新しくできたのだ。
「俺は、なんにもしてないよ。ただ、おまえらのことを見てるだけだ。・・・みんな、大人になってくのを見てるのは楽しいから。」
ママは、ただ見ているだけだ。一緒に戦うわけではない。ただ日常の中で暮らしていて、レイたちが戻るのを待っていてくれる。悩んだり怪我をすれば、一緒に心を痛めてくれるけど、解決策は示してくれない。ただ、日常の中に居ると大切に世話をして一緒に居てくれる。それだけの存在だ。それがレイには、今までなかった。
・・・・できるかぎり、足掻いてやる・・・
そこに居られる幸せは自分で、なんとかする。そのためにリジェネの提案は受け入れる。
「でも、俺はママが大好きです。」
「うん、俺もレイが大好きだよ。」
愛情だけで形作られる関係は、こんなにも力を与えてくれるのだ、と、レイはしみじみと感じていた。
作品名:こらぼでほすと 秘密10 作家名:篠義