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流れ星

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  「悠輝から連絡受けましてね。」

秘書室の小さな応接セットに南部が座って話し始めた。

  「いいドレスだったの。見て?」

ユキは自分の端末に送った写真を南部に見せる。

  「へぇ…かわいい感じですね。」(南部)
  「古代くんには内緒よ?」

ユキがいたずらっ子の様な顔をするのに南部が驚いて

  「え?古代まだ見てないんですか?」

と叫ぶ。

  「そう、当日まで見せるの止めようと思って。でも南部くんには見てもらおう、
   って思ってたの。ねぇ、どう?他人の眼から見て似合ってる?」

少し不安そうなユキ。

  「だってドレスを作る側としては売れればいいじゃない?そしたら似合う、
   似合わない、余り気にしないかな。っておもったら不安になっちゃって。
   で、南部くんはドレスを見る眼も天下一品だし…これ、須藤さんに送って
   もらってこれで大丈夫かどうか聞いてもらってもいいかな、って…。」

  (ユキさんって自分と古代の事になると本当に自信が無くなっちゃう人なんだな)

南部はユキの言葉を受けてそう思った。

  「大丈夫ですよ、よくお似合いです。結婚するには若すぎる年なんですから
   かわいいドレス着るの、特権だと思った方がいいですよ。」


と、そこへ藤堂が入って来た。南部とユキも立ち上がり敬礼する。

  「南部か、お帰り。お疲れさんだったな。」

藤堂はそう言うとユキを見て

  「最近残業が多かった…今日はもういいから南部と帰りなさい。積もる話も
   あるだろう?」

藤堂の言葉にユキが反論しようとしたが

  「定時までまだ数時間あるが…ではこうしよう。この封筒を真田の元へ届けて
   くれないか?真田にはその件での返事は3日後でいいと伝えてくれ。そして今日は
   そのまま帰っていいから。」

藤堂の言葉に納得できないユキだがその封筒を受け取った封筒のタイトルを見て言葉に詰まる。

  「長官…」

そのタイトルは英雄の丘、となっている。小さな封筒には記録媒体が入ってると簡単に想像がつく。

  「ユキも南部も見て一緒に考えてほしい。さぁ早く準備して行きなさい。
   真田はラボにいるはずだから。」

藤堂はそう言うと秘書室の奥にある長官室へ入って行った。










ユキは手早く身の回りを片付けて端末を持つと藤堂に渡された封筒を手に南部と一緒に真田のラボに来ていた。

  「南部も一緒か。駆逐艦、無事に到着してよかったな。」

冗談とも本気ともどっちとも取れるコメントで真田は南部を迎え入れた。

  「ユキもお疲れさん。忙しいらしいな。」

そう言いながら真田がユキから封筒を受け取る。

  「長官が、この件に関して3日後に返事が欲しいと。」

ユキが真田に告げると“了解”といいながら封筒の中の記録媒体を手に取った。

  「一緒に見てこい、って言われてるだろう?」

真田はそう言うとラボに設置されている画面の一番大きな端末に記録媒体をセットすると再生させた。

















  「ちょっと…切ないですね。」

英雄の丘は沖田の意向で建てられる事を初めて知った。軍でヤマトの偉業を讃える記念碑を作ろうと言うのは地球に帰って来てすぐに声が上がったが沖田はこの戦いで命を落としたクルーの魂を地球に戻すために記念碑ではなく“憩いの場”を作りたいと藤堂に言い残した事を知った。

海の見える小高い丘の上にクルーの名前と遺影の石碑を置き地球の為に戦い命を落とした彼らに地球で帰ってくる場所を作る。亡くなったクルーで身寄りのいない者も少なくない。誰もが戻って来れる静かな場所をつくってやりたい、と…。

設計図にはぐるっと円で石碑を置きいつでも誰でもここへ来れるよう軍の私有地とすることが決まっていた。遊星爆弾が落ちる前は海浜公園だった場所なので何も問題はない。

  「誰もが必死で生きるか死ぬか、が紙一重でしたからね。」

戦闘班の南部が言うとその言葉の意味が更に重みを増すような気がする。

  「そうね…。」

ヤマトの中で命を救う現場で働いていたユキも南部の言葉に深くうなずく。

  「だからこれからの地球を考えないといけなんだ。」

真田が画面を見ながらつぶやく。今地球はどこへ向かえばいいのか誰もがいろんな思惑を持ち自分が有利になるように利益が自分に回って来るように動きたがる傾向が出てきている。

  「地球を何とかしようと必死になっていたのはつい最近だったのにな…。」

ユキは真田の言葉の意味が良く解っていた




作品名:流れ星 作家名:kei