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三年と幾月日とくらいに

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「なんでこの人校庭に突っ立って腕組んでんの」
「考え事してるみたいだね。なにか手に持っている」
「あ、動いた……てか、こっちきたにゃー」
「ん…もしかしてこれ立海の…」
『ゴッ…ザザザッ』
「うわっ何何。画面揺れまくり」
『ちょ、柳くん…!頼むって…撮れってことでしょうか…』
「なんか撮影者のつぶやき入ったぞ…あ。戻った。って、ええ!?」
「流れからして……さっき撮影してたのあのライオンか?」
「何か見覚えがあるなぁ……まさかね」
「シュールな絵っすね」
「つかライオン早えええええええええ!!!!」
「ぎゃははははっ腹いてぇっ」



「お前達…人のデータを勝手に見るんじゃない」
「ぎゃっ」
部室の片隅に密集し、小さい画面に釘付けだったメンバーの背後からいきなり長い手がにゅっと伸びてカメラが奪われる。
「乾っ、居るなら居るって言ってくれ」
「大石や越前までこいつらと一緒になって覗き見とは…意外だぞ」
「い、いやそれは英二が…」
「だって桃先輩が…」
「ねえ乾…あのライオンって、うちの部の備品にそっくりじゃない?」
不二の指摘にぎくっ、と乾の背中が揺れる。
「ああーそういえば!去年の文化祭で使ったの俺覚えてるっすよ!」
「ふーーーーん。そのライオンがカメラで撮ってたにゃあ?」
「ふふーーーーーん。さっき人のデータって言ってましたよねぇ」
「ふ……それがどうした」
菊丸と桃城が意地の悪い笑顔で詰め寄ってくるのを乾は平然と受け止めた。
常に無い反応に、悪ノリ二人は面食らって後じさる。
「これだけ苦労しているんだ。今年こそは有効活用してもらうぞ、お前等」
何故か誇らしげにそう言うと、乾はロッカーから変な色の液体の入ったペットボトルを取り出してそのまま部室を後にした。
「……なーんだよ。弄り甲斐がなくてつまんないの」
なんとなく静かになってしまった部室に菊丸の一言だけがぽつんと落ちて、全員は何事も無かったかのように各々コートへ向かう準備を始めた。


「収穫はあったか」
アップを終えコートに向かう途中、コートの片隅に立つ手塚に不意に声を掛けられて乾は足を止める。そういえば昨日は結局立ち寄れなかったのだと思い出し、簡潔に答えた。
「まあね…でも」
「?」
「一番の収穫はデータ以上のものだったよ」
「……そうか。良かったな」
「ああ」
やっと遠くから越前たちが駆け足でコートにやって来るのが視界に入る。手塚もそれを確認すると声を張り上げた。
「レギュラー集合!もたもたするんじゃない!」
作品名:三年と幾月日とくらいに 作家名:みぎり