守るべきもの
Episode.1 決意
その日
人類は思い出した。
ヤツらに支配されていた恐怖を・・・
鳥籠の中に囚われていた屈辱を・・・
その後、我々の先祖は巨人の越えられない
強固な「壁」を築くことによって
巨人の存在しない安全な領域を確保することに成功したが・・・
それも5年前までの話
5年前、再び惨劇は起きた
100年の平和の代償は
惨劇によって支払われた
当時の危機意識では
突然の「超大型巨人」の出現に
対応できるはずもなかった・・・
その結果、先端の壁「ウォール・マリア」を放棄
人類の活動領域は現在我々のいる
「ウォール・ローゼ」まで後退した
今この瞬間にもあの「超大型巨人」が
壁を破壊しに来たとしても不思議ではない
その時こそ諸君らはその職務として
「生産者」に代わり
自らの命を捧げて巨人という脅威に
立ち向かってゆくのだ!
「心臓を捧げよ!!」
「ハッ!!!」
新兵が一同に叫び
握りこぶしを自分の左胸にかざした
(この敬礼の重みを理解している人は
いったい何人くらいいるのかな)
一人の少女は小さく微笑んだ