守るべきもの
「よっし、こんなもんかな」
「す、すげぇ・・・」
エレンとアルミンはごくりとつばを飲み込む
「う、うめぇっ!!」
「ケイ、ほんとにすごいよ!
サバイバル訓練でこんなに美味しい食事が
食べられるなんて嘘みたいだ」
3人1組で行われるサバイバル訓練での出来事
「よかった
やっぱり教官も鬼ではないみたい
最低限生きていけそうなものが手に入る環境で
訓練させてくれている」
「いや、それにしてもだろ」
「そうだよ、きのこや木の実の知識も豊富だし
ケイがいれば何日でも生きていけそうだね」
毒の入ったもの
食べられるが絶望的にまずいもの
香りを付けるのに適した食べ物
加熱したり、一部を切り取ることで
食べられるようになる食べ物
自然に対して豊富すぎる知識をケイは持っていた
「もしもの時のために
痛み止めになる草や
化膿止めになる木の実まで集めてくれたし
すごく心強いよ」
「ま、まぁかなりの田舎で育ったもんだから
むしろ常識だった的なね」
あはは、とケイは笑った
「そ、そういえばさ・・・
ケイって調査兵団志望なんだって?」
エレンが切り出す
「え?」
ケイは驚いた表情を見せる
「あ、いやっ
この前偶然その話をしているところ聞いて・・・
そのった、立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど
つい・・・調査兵団志望の奴なんてほとんどいないから」
エレンが慌てて喋る
ケイはその様子を見て思わず笑ってしまった
「そんなに慌てなくても
隠してるわけじゃないし、聞いてたからって
怒ったりしないから安心してよ」
「へぇ、道理で巨人のこととか色々詳しいと思った
本気で目指してるからなんだね」
普段から座学の時にお互いの意見を交換しながら
知識を深め合ってきたアルミンは深く納得する
「ま、まぁね」
「オレが言うのもなんだけど
なんで調査兵団なんだ?」
エレンは尋ねる
この間も同じ質問をされていたが
どうしても気になってしまったのだ
「・・・それは秘密です」
人差し指を口の前に持ってくる
「私が調査兵団を目指す理由は
私だけのものにしておきたいの
それに、エレンみたいに
大きな志を持って調査兵団を
目指してるわけじゃないからさ
言うのも少し恥ずかしいからね」
調査兵団に
会いたい人がいるから
その人と一緒にいたいから・・・なんて