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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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「スカーレットサイン」


「ほら、主役の登場だ」

誰かの声と共に、食堂に集まった人々の視線が、一斉に扉へと向けられた。髪に花を飾り、新しいワンピースに身を包んだ少女は、慌てて母親の背中に隠れる。

「モモ、皆さんにご挨拶して」

促され、モモはそろそろと顔だけ覗かせた。沢山の大人達。知っている顔もいれば、全く知らない顔もある。笑いさざめきあうその向こう、壁際に立っている青年が、小さく手を振った。モモはホッとして、自分も手を振り返す。

「モモー! お前の将来の旦那様だぞー!」
「何バカなこと言ってんの!!」

手前にいた男性が手を振りながら軽口を叩き、隣の女性に頭をはたかれていた。
壁際の青年ー蒼雪は、自分にしか見えていない。モモは幼いながらもそれを理解していたので、何も言わずに母の横に立った。

「ごめんなさい、この子、緊張してるみたい」
「無理もない。こんなに大勢集まったんだから」
「お姫様の十歳のお誕生日に、駆けつけない方がどうかしてるさ」

さざ波のような笑いが広がり、人々は主役の成長ぶりを口にする。「本当に大きくなって」「以前会った時は、まだこのくらいで」などの常套句が交わされる中、モモはぺこりと頭を下げ、今日の為に練習していた挨拶を口にした。

「皆さん、今日は私の誕生日にお集まり頂き、ありがと・・・・・・ママ」

窓の外に現れた影を見て、モモは横にいる母親を見上げる。
次の瞬間、窓ガラスの割れる音と甲高い悲鳴が場を埋め尽くし、祝福の場は一転、地獄絵図と化した。