二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

INDEX|23ページ/23ページ|

前のページ
 

「サイレンス!」

壁を回った瞬間、衝撃に体を吹っ飛ばされた。

「蒼雪!」

サイレンスの悲鳴に構う暇もなく、蒼雪はのし掛かってきた異形を引き剥がして、地面に叩きつける。ギャッと声を上げた異形を凍結させ、蒼雪は青ざめた顔のサイレンスへと駆け寄った。少女を庇うように抱いた腕には、無数の爪痕や歯形が残されている。

「大丈夫か?」
「何とか」

サイレンスの腕に抱かれた少女は、まるでまどろんでいるかのようにも見えた。だが、微かに上下する胸は血に染まり、破れた衣服から覗く肌には、いくつもの傷跡がある。少女の頭を引き寄せ、サイレンスは唇を噛んだ。

「傷は塞いだの。でも、意識が戻らなくて」
「分かった。フロイラインは?」
「姿を見せないの。もしかしたら」

途切れた言葉に、蒼雪も俯く。無事ならば、真っ先に少女の元へ駆けつけているはずだ。

「動かせるか?」
「担架になるものがあれば、多分」

蒼雪は、壁の陰から首を伸ばして、戦況を確認する。派手に砂埃が舞う中、異形らしき悲鳴が響いていた。

「あれが片づくまで、待ったほうがいい。下手に巻き込まれたら」

そこで口を閉ざす。サイレンスも気づいたのか、小さく悲鳴を上げて、少女に覆い被さった。
瓦礫の山を、無数の異形がよじ登ってくる。蒼雪は、途中で数えることを諦めた。

「応援を」
「無理だ。俺達で凌ぐしかない」

サイレンスの視線に、蒼雪は頷く。手の中に集めた冷気で氷柱を作り、固く握りしめた。

「その子を頼む」

蒼雪は、地面を蹴って異形の群へと突進する。一体一体は小さいものの、その数は膨大だった。

どこまでいけるか・・・・・・賭だな。

一瞬、モモの顔が脳裏をよぎる。あの子は、俺を許してくれるだろうか。