【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編
蒼雪は、がむしゃらに馬を走らせる。書かれた時間まで僅かしかない。
ジェネラルは全て見抜いていたのだ。シアンが罷免されることも、その後の混乱も、蒼雪が真相を知ることも・・・・・・。
このところ異形の襲撃が落ち着いているのは、ジェネラルが孤軍奮闘しているからではないかとの疑問が、確信に変わる。彼は時間を与えたのだ。蒼雪が、彼の神の子にたどり着く為の時間を。
何もかも一人で背負うなと言っただろう!
僅かでも遅れれば、ジェネラルは二度と姿を現さない。これが、最初で最後の機会なのだ。
どうか、間に合ってくれ・・・・・・!
祈る思いでコラール平原を越え、遺跡へとたどり着く。ここで、ジェネラルのくだらない賭けに怒ったことが、遠い昔のように感じられた。
馬を降り、蒼雪はゆっくりと歩を進める。ジェネラルは何処にいるのか。こちらを伺っているのか。それとも、もう立ち去った後なのか・・・・・・。
「何してんの? 暇なの?」
懐かしい声に、蒼雪はハッとして振り向いた。瓦礫に腰を掛けたジェネラルが、小馬鹿にしたようにこちらを見つめている。安堵感から息を吐いた蒼雪は、笑顔で手を差し伸べた。
「お前と遊んでいる暇はないんだ。さっさと帰るぞ」
終わり
作品名:【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編 作家名:シャオ