二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

INDEX|28ページ/29ページ|

次のページ前のページ
 

グレイの目が、すっと細まる。その青は、本来の色ではない。

「貴方が、「最初の神の子」なのですね」
「・・・・・・何時、気がついた?」

相手が否定しなかったことに微かな落胆を覚えながら、蒼雪は肩を竦めた。

「確信を持ったのは、マルーン夫人と面会した時です。ジェネラルは、貴方の友人として、夫人に面会していました」
「ああ、俺が将軍に話したから。シアン支部長の妻が、療養所にいると。最初は、こんな偶然もあるんだという、雑談だったけどな」
「後は・・・・・・呼び方」

蒼雪は目を伏せ、

「ジェネラルは、貴方のことを名前で呼んでいました」
「それは」

グレイも気づいたのか、途中で口を閉ざした。ジェネラルが名前を呼ぶのは、神の子と人形だけなのだと。

「ジェネラルの目は、スカーレットサインなのですね」

蒼雪の言葉にグレイは頷き、取り替えたのだと言った。十歳の誕生日を迎え、自分の目が真紅に染まった時に。

「・・・・・・気がついたら、目の前に将軍がいて。誰にも、何も言うなと。鏡を見たら、目の色が青に変わってた。元々、光の加減で青にも緑にも見えたから、親は「大人に近づいた証」と笑って終わりだった。それ以来、将軍は姿を消した。突然、彼がこの支部にやってくるまでね」

グレイは乾いた笑いをあげて、肩を竦める。

「次の「神の子」が現れたのは一年後。その時、ようやく分かったんだ。そして、怖くなった。もし、誰かに知られたら、自分も化け物と戦わなくてはならないとね。でも、将軍はいないし・・・・・・誰にも言うなと、約束していたから。ずっと、黙っていた。ずっと」
「貴方が医者になったのは、ジェネラルに会う為ですか?」

「神の子」と関わっていれば、いつかジェネラルが現れると、予想したのだろうか。

「んー、まあ、それもあるけど。一番は、「神の子」の助けになりたかったんだ。本来なら、俺がそこにいるべきだったから。俺が、引き受けるべきだったんだ。痛みも、苦しみも、全て」

蒼雪は、やるせない気持ちで目を伏せた。苦しみ、もがき、倒れていく「神の子」と、彼はどんな思いで関わってきたのだろう。

「ジェネラルが異形を消滅させられるのは、目を取り替えたからですか?」
「その分、負担は本人だけに向かう。お勧めはしないな。こっちは、無事な姿を見るまで生きた心地がしない」

グレイの言わんとしていることに気がついて、蒼雪は分かっていると頷いた。それはきっと、余計にモモを苦しめることになる。
グレイは、メモ帳を引き寄せると、一枚破ってさらさらと書き付けた。その紙片を、蒼雪へと滑らせる。

「将軍に謝っておいて。見る目がないのは、俺の方だったって」

書かれていたのは、日付と時間と場所。それは、コラール平原を越えたところにある神殿跡であり、日付は今日。時間は・・・・・・。

「失礼します!」

蒼雪は弾かれたように立ち上がり、医務室を飛び出した。