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【APH】無題ドキュメントⅡ

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…あー、マジでしんどい。

何とか国として残ったものの、フランスに身体半分をもぎ取られ、戦争で経済も民も貧窮し、ベッドから起き上がることさえ出来ないほど、プロイセンは疲弊していた。おまけに既に右目は濁り、良く見えず、片目の不自由さに動く気にもなれない。それにまた疲弊感が募り、どろどろと眠りに落ちては、悪夢に魘され、目を開ける。目を開けても光源の明るさも色も解らない。悪夢の円延長のような現実と微熱の続く怠るい身体を捨ててしまいたくなるが、そうもいかない。…あのクソワイン野郎にこの屈辱を何倍にもして返してやるのだ。

…のど渇いたな。

不意に覚えた喉の乾きに、サイドテーブルに置かれた水差しに手を伸ばそうとするが、片目の所為か距離感が掴めない。空を彷徨う手を見かねたのか子どもの小さな手が伸び、水差しからゴブレットへと水が注がれ、プロイセンの口元へと運ばれる。
「…ありがとな」
冷たい水が焼かれた喉を潤し、プロイセンは息を吐く。子どもは小さく頷くとベッドサイドの椅子に腰を下ろし、プロイセンを見つめた。
「…いつから、そこに?」
「…プロイセンが屋敷に戻ってきてからだ」
子どもが応える。

 東プロイセンへと逃れた王を追ったナポレオンの軍を追い、救援に来たロシアと協力して、ナポレオンをプロイセンは東プロイセン南部の小さな町アイラウ郊外で討つつもりでいた。吹雪はプロイセンとロシアに味方し、地の利に疎いフランス軍を追い詰めた…が、駆けつけたフランス軍の援軍により、形勢は逆転し、敗走を余儀なくされた。その後フリーラントの戦いでプロイセンの臨時首都だったケーニスヒスベルクを占領され、プロイセンは完全に敗北した。
 ナポレオンとロシア皇帝アレクサンドル1世の間にティルジットの和約が結ばれた。和約によって、フランスとロシアとの間には協調関係が成立し、プロイセンはエルベ川以西の領土を失ったうえ巨額の賠償金を課せられ身体た。身体半分を失い、自分でも生きているのが不思議なほどぼろぼろの身体でポツダム郊外の屋敷へと戻ってきたのはつい先日のことだ。

「…俺が戻ってきて、何日になる?」

「一週間は過ぎた。……もう、目を、開けないんじゃないかと思った…」
作品名:【APH】無題ドキュメントⅡ 作家名:冬故