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【APH】無題ドキュメントⅡ

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子どもはぽつりと呟くと、プロイセンの額の上、乾いた布切れを手桶の水に浸して、絞る。それでプロイセンの熱く火照った頬を冷やす。その冷たさにプロイセンはほうっと息を吐いた。
「…心配かけたな」
小さな子どもにこんな自分の姿は見せたくなかったが、出会いからして自分は瀕死だったのだから
仕方がない。プロイセンの言葉に子どもは小さく首を振った。
「…悪いが俺は暫くはこんな有様だ。ブランデンブルグにお前のことは頼んであるから、あいつに色々、教えてもらえ。…身体が治ったら、…そうだな。俺がお前に戦術や兵法を教えてやるよ」
「解った」
子どもが頷く。でも、この部屋から出て行く気はないらしく、温和しくプロイセンを子どもは見つめている。そえに居心地の悪さを覚える。…この年頃の子どもなどどう扱っていいのか、解らない。
「…そういや、天使、」
この子どもにはまだ名前がない。「ライヒ(帝国)」と呼んではみたものの、それは時期早々な気がする。プロイセンは唯一、自由になる片目をきょろりと動かした。
「…天使じゃない」
「天使だろ。瀕死の俺様をお前は助けてくれたんだからな」
プロイセンの言葉に子どもは子どもらしからぬ複雑な顔をした。
「プロイセンを救ったのは、お前の部下だ。おれじゃない」
「まあ、そうだけど。…俺、お前いなかったら、多分死んでた…いや、今も死にそうだけど」
喋るのはしんどい。でも、目を閉じれば悪夢に魘されそうだ。プロイセンは会話を続ける。
「…なあ、天使。お前、俺でいいの?」
「天使ではないと言っているだろう。いいとは何がだ?」
愛らしい、それこそ天使のような声をしているのに子どもの喋り方は老成した大人のようだ。それが可笑しく、プロイセンは口元を僅かに歪めた。
「…俺はこのままくたばるかもしれねぇ。…今なら、オーストリアの腐れぼっちゃんとことか行けるぜ?」
「…不吉なことを言わないでくれ。おれはオーストリアの世話になるつもりはない」
「何でだよ?坊ちゃんとこは認めたくねぇが、大国だぜ?」
「…オーストリアでは駄目だ。おれは、…強くなりたいんだ。…昔、守れなかったものを…守れるように…だから、」
作品名:【APH】無題ドキュメントⅡ 作家名:冬故