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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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D.C.IIISS ~ダ・カーポIIISS~

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 ……男としての性なのだが。こんな風に見つめられてこんな"お願い"を断れるはずがあるだろうか。……いや、大部分の男子諸君が断れるはずがないだろう。もちろん俺もその大部分の一人だ。
「……しゃーない。そのかわり、今夜は寝かせないからな」
「どんとこいです」
 そういってまた微笑み合い、互いに顔を近づけて―。


「あー、もう聞いてられないわ!」


 ……口づけを交わそうとしたところで部屋の扉が大きな音を立てて開き、四人ほど人が流れ込んできた。……ちなみにそのうち二人は控えめにだが。
「リッカさん!それに巴さんにシャルルさんに……清隆君?」
「なんで俺だけ疑問形なんですか」
「いやぁ、日本人の名前ってちょっと覚えにくくて……」
「……それでも二ヶ月くらい一緒に仕事してますよねぇ?」
 開始早々カレンはやってくれた。
「……冗談はそこまでにしといてやれ。清隆が可哀相だ」
「ハーイ」
「冗談だったんですか!?」
「てへぺろ」
 もうそこまでにしておいてやれ、マジで。清隆が疲れ切っているぞ。まだこのやり取り始まって一分も経ってないぞ。
「……さーて、この不純異性交遊(未遂)はどう取り締まってやろうかしらねぇ」
「思いっきり未遂って声に出てんじゃねぇか」
「ですが、自分の部屋に女子を連れ込むのは如何なもとかと」
「しかも女王陛下のお仕事から帰ってきた途端だからお説教も割増ね」
 俺は眉間にシワを寄せた。流石にここまで言われて黙ってはいられない。大体事実で言い訳できないのだが。
「……だけどよぉ、お前には言われたくねぇよリッカ」
「何よ」
「……お前、大分清隆を自分の部屋に入り浸らせてるらしいじゃねぇか。それでも俺に今と同じ事言えんのかよ」
「うぐっ」
 リッカはダメージを受けたようだ。よし、もう一押しだ。
「まあ、最近は大分自重してるらしいがさ」
「……誰に聞いたのよ」
「今清隆の心読んだ」
 俺は間髪入れずに答えた。
「清隆……?」
「ちょっ、ユーリさん!?」
 許せ清隆。こうするしか方法がなかったんだよ。
「……まあいいわ。清隆だしね」
「それで、どうするんだい?」
「そんなかったるいことは、シャルルに任せるわ」
 どうやらリッカは職務を放棄したらしい。
 俺の勝ちDA!!
「……まあ、規則は規則なんだけどね」
 しかし、シャルルは更に強敵である。
 なんたって、俺の後を継いだ生徒会長なのだから!
「でも、ユーリさんは今日帰って来たわけですし、今日押しかけたのはカレンちゃんなわけだから、今回は不問にします」
 だが、帰ってきた返事は俺の予想の逆を行った。
「えっ、いいのかよ」
「ただし、今度は無いですよ」
 つまりこれからは見つからない様にしろと。
「わかった。恩に着る」
 俺はシャルルに頭を下げた。倣ってカレンも頭を下げる。
「いえいえ。ですが、節度はきちんとしておいてくださいね」
「肝に命じます」
 無論、後でどうなるか分かったものじゃないからこう答えておく。
「あと理性もね」
「お前に言われたくねぇよ」
「そんなとこまで読まなくていいのよ!」
 しまった、清隆とリッカの××なことまで読んでそれを口に出してしまったー(棒)。
「……リッカ、どういうこと?」
「これは、こちらにも事情聴取する必要がありそうだな」
「えっ、ちょっと、シャルル?巴?」
「「問答無用!」」
 二人の才媛は、<孤高のカトレア>の両脇を抱え、連れていってしまった。
「あっ、清隆君にも聞くことがあるからついて来て」
 なにかに安堵していた清隆が突然ビクリと体を震わせた。
「……えっと、行き先女子寮で―」
「清隆」
「ハイ行きます」
 清隆は即座に反論しようとしたが、巴に凄まれて逃げ場をなくしてしまった。そういえば、読んだ記憶の中に「清隆と巴は遠縁の親戚」ということもあったな。……まあ、頑張れよ清隆。
「……行っちまったな」
「……なんか、嵐のようでしたね……」
 事が済んで残された俺達は、呆然と立ちつくしていた。こんなことではさっきの続きをする気にもなれない。
「そうですね。流石に私もこんな状況では無理です」
「うおっ、突然俺の心を読むなよ」
 くそっ、少し緩んでいたか。カレンの得意な魔法は読心系と念力系の魔法だ。しかも俺の心は読み解きやすいらしく性質(たち)が悪い。先程までは気をつけていたが迂闊だった。
 ……ただ、こいつは要所要所で読んでくるのでこいつの力の事は依然として分からん。カレンいわく、「私がユーリさんを想っているから、貴方との繋がりが強いんですよ」だそうだ。
「というか、鍵掛けたはずなんだがなぁ……」
「そんなの、<孤高のカトレア>の前では無意味ですよ」
「その前に誰も来ないだろうって高括ってた俺も悪いよな」
「魔力係数に関してはユーリさんの方が高いですもんね。使い安さは置いといて」
 ……これに関しては何も言えんな。
 さーて、これからどうするかだが。先程も考えていたとおり、これからさっきの続きが出来るほど俺達は図太くない。どうにかしたいとは思っているのだがそれは……。
 と、そんなときだった。不意に、誰かの腹の虫が鳴き出した。ちなみに俺はさっきフラワーズで飯を食べたところなのでそんなことがあるはずがない。つまり、残った可能性はというと……。
「カレン」
 疑いの眼差しを持って隣にいる恋人を見る。するとカレンはあからさまに目を反らした。
「……飯まだなのか?」
「……仕方ないじゃないですか。今日ユーリさんが帰ってくるって分かってからドキドキして晩御飯食べる余裕なかったんですから……」
 あー畜生。あからさまに頬を赤くしやがってこいつは……。
「かわいいなこの野郎!」
 俺はそう言いながら彼女の頭を撫で繰り回していた。
「ふにゃっ、ユーリしゃん!?」
 おっ、照れてるな。ちょっと舌が回ってないぞこいつ。
「悪い悪い。思ったことがそのまま口に出てしまった」
「しょ、しょれでも途中でやめりゅのはどうかと……」
 うーむ、こいつこんなかわいい生物だったっけ。まあ、彼氏の贔屓目かもしれんがかまわん。
「まあ、さっき俺も食後のコーヒーを飲み損ねたんだよ。飯くらい付き合うさ」
「ユーリさん……」
 撫で回したせいで崩れてしまった髪を直しながらカレンはつぶやいた。
「じゃあ、お願いします」
 俺達はすぐに食堂へ赴き、遅目の食事にした。……まあ食べてたのはカレンだけだが。楽しく談笑出来たしよしとする。
 その後部屋に戻って来てシャワーを浴びたのだが……。『一緒に入ってもいいですか……?』とかカレンが言ってきた事に対して何とか理性を保ちながら拒否してみたり既に泊まる準備万端なことに少し苦笑いしてみたりと色々急がしかった。
 ……結局、一緒に寝ることだけはどうしても断れず今に至る。もう既に夜も更けて、学園都市の天井に見える月が真上に来ていた。
 俺はまだ、眠れていなかった。いや、断じて彼女が隣にいてドキドキしてるとか、理性を保つので精一杯とか、そういうわけではない。……嘘ですすみません。はい、隣のカレンにドキドキしてます。ちょっと理性崩れそうでやばいです。