二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

流れ星 2

INDEX|1ページ/10ページ|

次のページ
 
<旅立ちⅡ>
  「ほう…どれどれ?」

少しおじさま、ぽい話し方で真田がユキの端末を覗き込む。

  「いいじゃないか。本番が楽しみだな。」

真田がユキにしか見せない極上の笑顔を向ける。南部はほとんど見た事のない真田の笑顔に少し驚いたが

  (ユキさんの前だと誰もが素直になる、って事なのかもしれないな。)

あのとげとげしく攻撃的な進を変えたのもユキだった。

  「あいつには本番まで見せないらしいですよ?」

南部が一言付け加える。その言葉に笑顔を浮かべながらユキが端末を操作して南部に写真を添付してメールを送る。

  「そうなのか?」

真田が驚いた顔をすると南部も別の意味で顔に出さないように驚く

  (真田さんの百面相が見れそうだ)

  「これ、南部くんのいとこの須藤さんの知り合いの方のドレスなんです。
   こないだの休みの日に採寸して来て…。南部くん、今メールしたから時間が
   あるときに須藤さんに送ってくれる?」

ユキが結婚に向けて一歩進んだ事を報告する。

  「ユキさん、式場どうするんですか?」

南部が疑問に思って聞いた。

  「…まだ何も。とりあえず一番悩むだろうドレスを先に決めちゃえばいいかな、
   なんて思ってて…。」

ユキの言葉に南部が頭を抱える。

  「いいですか?仮にも…普段はあんな頼りないヤツですが古代は一応仮にも…
   か・り・に・もヤマトの戦闘班長であの不可能とされていた航海を成し遂げた
   ヤマトの艦長代理を勤めた男なんです。」

南部がやたらユキに力説し始めた。その近寄りがたいオーラに真田も圧倒される。

  「その古代と結婚するんですからそんじゅそこらの式場で招待客、収容できると
   思っているんですか?」(南部)
  「え?」(ユキ)
  「ユキさん、結婚式の後、って何があるか知ってますか?」

南部の言葉に真田が気付いたようでクスクス笑っている。

  「え?」(ユキ)
  「あのですね、ユキさん。家族だけがそろって会食、って訳にいかないんです。
   一応軍でそれなりに立場のある人ですから結婚式の後は披露宴、というものを
   しなくてはいけないんですよ。」

南部の言葉に“ん?”となるユキ。

  「あ、ひょっとしてお色直しで着るドレスは後から一緒に選びに行こう、って…?」

ユキの言葉に大きくうなずく南部。

  「そうです、その披露宴で着るドレスは古代が自分で選びたい、って事ですよ。
   古代が古代ならユキさんもユキさんですね。」

南部の態度に肩で笑う真田。

  「古代がユキさんをお披露目するんです。仕方ないですね…今日は長官から
  お許しも出たし…ユキさん、今日ご予定ありますか?」(南部)
  「え?何も…。」(ユキ)
  「真田さん、今日はこれで失礼します。明日、一緒に呑みに行きませんか?」

南部が立ちあがりながら言うと真田はすぐにOKサインを出した。ユキは自分も行きたい、と言いそうになった。

  「ユキさんはダメですよ。明日は私と真田さんで飲み会!ユキさんは後日!」

ユキの言葉の前に南部がくぎを刺す。南部はサッとユキのカバンをもって真田に一礼してラボを出た。ユキも真田に挨拶して端末を持って慌てて南部の後ろを追った。





  「南部くん~待って!」

ヤマトのクルーは基本早歩き。しかし南部の歩く速度はいつもの歩調よりかなり速い。ユキは小走りで南部に追いついた。

  「…はい、よろしく。じゃ、これから向かいます。」

気付くと南部は電話をしていたようで通話を切るボタンを押した。

  「南部くん、怒ってる?」

南部がユキの歩調に合わせて歩き始めた。

  「いいえ、呆れているんです。」

明らかに肩を落としながら話す南部。

  「でも考えてみたら環境的に結婚式の事なんて知らないですよね?」

ふと顔を見るといつもの南部の顔に戻っていた。

  (仕事中のユキさんは隙なくなんでもこなすのに…)

南部はそのギャップを知ってるのはメインクルーの特権だなと心の中で笑った。

  「エアートレインに乗りますね。」

南部はユキのバッグを手渡した。










作品名:流れ星 2 作家名:kei