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流れ星 2

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  (息を吹き返した時俺がそばにいれば…)

上村はそればかりを考えていた。ユキはヤマトを下され検査のため病院へ入院。上村は地球へ戻り地球の洗浄をするメンバーの一員となりずっとヤマトにいた。ヤマトを降りた後、赴任した先では無名のクルーも“ヤマトのクルー”と看板を背負いどこでも握手を求められたり英雄の様にもてはやされた。

メインクルーのように記者会見を開かなくてもどこからか誰かが

“アイツ、ヤマトに乗ってイスカンダルに行ったメンバーだったんだってよ”

と言えばその瞬間に誰もが見る眼が変わる。上村はとても気分が良かった、が、そこに突然耳に入って来た、進とユキの婚約発表…



付き合い始めるのは間違いないだろうと思っていたがこんなに早く婚約まで話が飛ぶなんて思いもしなかった…





その後悔の気持ちがあのメールだった。









  「ん?」

しばらくの後、真田からメールが届いている事に気付いた。

  「尊敬する真田さんと言えどそっと見守る事なんでできませんよ。」

上村はひとりそうごちるとベッドにごろんと横になった。

  「あ~あ~俺、何やってるんだろう。工場によく来てた時に声かけて仲良く
   なっときゃよかったな。真田さんと付き合ってるって思ってたからなぁ…
   もしあの時声かけて仲良くなってりゃ地球で婚約発表してたのは俺だったかも
   しれないんだぜ?」

上村は深いため息をつく。

  「あんだけきれいな人だからいろんな人から告白されたんだろうなぁ。真田さんは
   森さんの事、好きじゃなかったのか?最初は俺が守ってますオーラ全開だった
   もんなぁ。明日から軍の食堂チェック忘れないようにしなくちゃだな。」

上村はそうつぶやくとメールの画面を閉じた。















ユキは毎日、忙しい日々を送っていた。間もなく地上に戻れる…復興が進み地上に戻る段取りの最終確認に忙しかった。そのせいで結婚式の準備なんてしてる時間もなく地上と地下都市を行ったり来たりの生活だった。地上で深呼吸すると子供の頃を思い出す。九州に行く前少しトウキョウにいたころの事だ。子供心に人の歩く速さがとても速いと感じて立ち止まって空を見た事があった。
見上げるとそこには青い空があって白い雲が浮かんでいた。








普通の日常が普通で無くなった時。




いつしか見上げる空は青ではなく茶色の岩盤だった。地下都市はさらに深く、深く掘り下げられ深呼吸なんてできないぐらいいつも息が詰まる様なそんな感じだった。


ユキは地上に出ると真っ先に深呼吸をする。ヤマトがコスモクリーナーDできれいにした空気を胸いっぱい吸い込むのが習慣になっていた。そして息を吐く時いつも同じ事を考えてしまう。

  (最後まで任務を全うしたかった)

コスモクリーナーDで地上がきれいになって行く様子をこの目で確かめたかった。もちろんモニターからの映像が全地球に配信されていたから中継で見た事はあったけど実際ヤマトの第三艦橋を使って地球が生まれ変わる姿を見て見たかった、と思っている。





  「ユキ。」

不意に後ろから呼ばれて振り返ると藤堂が立っていた。

  「間もなくだな。」

日本の中心には地球防衛軍がありその隣に地下都市と同じく中央病院がある。そしてすぐ近くに国会議事堂が建設されその付近に省庁が並ぶ。その建物は全て地下で繋がっておりエアートレインが整備される。
すでに郊外へマンション群も建ち抽選で選ばれた地球市民がそれぞれ割り当てられた住宅に入る予定になっている。
学校やその他の施設、ホテルなども建設されガミラスに攻撃を受ける前と同じような生活が送れるよう、公務員や軍関係者が中心となり今後は一般市民の生活を支えて行くようになる予定だ。

  「はい。1年前、真っ赤な地球を後にした時はこの地球を救えるのか半信半疑で
   した。でもこうして深呼吸が出来る星に戻す事が出来たと思うと…言葉に
   できなくて…私、幸せだな、ってしみじみ思うんです。」

ユキは英雄の丘が設立される予定の場所にいた。すでに工事に入る直前となっていてレリーフが並ぶ部分は立ち入り禁止となっていた。

  「沖田は…自分がこうして祭り上げられる事、由と思わんだろうな。」

藤堂はヤマトの功績を何かの形で残したいと思った。戦死した友人をその部下(子供)たちと共に眠れる場所を作りたかっただけだった。しかし世間はそんな英雄たちをそっとしておいてくれるはずもなく。沖田は巨大な銅像となり大切な部下(子供)たちは足元にレリーフとして並ぶことになった。

 


作品名:流れ星 2 作家名:kei