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桑野みどり
桑野みどり
novelistID. 52068
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Solid Air(前編)

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「分からないわ…その直前の任務記録が削除されているのよ」二人は顔を見合わせた。どう考えてもこれは異常だ。ジェットの身に何かが起こったとしか思えない。

『003、今話せるか?』
「007!」
突然入ってきた脳波通信にフランソワーズはぎくりとした。
「ええ…何かあったの?」
『なんというか…妙なことを訊くが、最近002から連絡がなかったか?』
フランソワーズは息を飲んだ。
「今ちょうど彼の様子を探っていたところよ。いいえ、連絡があったわけじゃないの…。ただ、気になることがあって」
「グレート、きみのほうでは一体何があったんだ?」
『以前、いざというときのための非常連絡手段を決めておいたのを覚えているか?それを通じて連絡が入った。002のパーソナルコードが組み込まれていたんだが…』
話しながらグレートはメッセージを転送してきた。

【help jet】

『002が送ったにしては、不自然だと思わないか?』
「そうね…これを送ったのはジェットではないと思うわ」
『俺もそう思う。送り主は、ジェットを助けてほしいと言ってるんだ』
「誰なんだ?その送り主は」
「連絡経路をたどってみればすぐ分かるはずよ。グレート、メッセージのソースを送って頂戴」
『了解』

数十秒後、フランソワーズはモニターに送信者のプロフィールを映し出した。
「メッセージを送ったのはこの人物よ」
「ジェットの整備技師か…」
その人物とジェットとの間にはかなりの信頼関係があるに違いない。おそらく、彼はジェットから頼まれてメッセージを送ったのだろうとフランソワーズたちは推測した。そうだとすると、ジェットは自分では連絡したくてもできない状況にあるのだ。
『よし、俺がちょっくら行って接触してこよう。ちょうど今、そう遠くないところにいるんだ』
「ええ、お願い。私とジェロニモもすぐ向かうわ。こちらのつかんだ情報を伝えるから移動しながら聞いて」

移動中、フランソワーズはさらに詳しくジェットの足取りを追った。状況が明らかになるにつれて、フランソワーズの顔は蒼ざめ、泣きそうな表情になっていった。
「ジェットは任務で負傷したのに、ほとんど治療を受けていないわ…。しかも基地に帰ってから傷が増えている」
『結構やばいのか』
「二日前から消息が掴めないの。どこかに監禁されているのかもしれない」
『二日前か。メッセージが発信されたタイミングだな』
「どうして二日もかかるのよ!もっと早く気づいていれば…!」
ヒステリックな声でフランソワーズは叫んだ。
グレートは言い訳するように答えた。
『仕方ないだろ。機密性を高めるためにあえてアナログな手を使ってるんだよ』
「だけど…!」
フランソワーズは頭を振った。ふらりと足元が崩れそうになったのをジェロニモが支える。
「落ち着くんだ、フランソワーズ。…作戦を変更しよう。わたしがメッセージの送信者と接触する。グレートはまずジェットの救出に向かってくれ。それでいいか?」
ジェロニモはフランソワーズを気遣うように見た。
「ええ…そうしましょう。私がジェットを探すわ。必ず、すぐに見つけてみせる…!」
フランソワーズの目がきりきりと唸りをたてるように輝き、猛スピードで視界をスキャンし始めた。


「見つけた…!」
ついにフランソワーズの目がジェットの姿を捉えた。
『どこだ!?』
「このポイントよ。隔離棟の独房の中」
間髪いれずグレートに位置情報を送る。
『グレート急いで!お願い…』
フランソワーズは泣いていた。
それほどひどいのか。グレートは最悪の事態を想像した。
作品名:Solid Air(前編) 作家名:桑野みどり